・ A・クリスティの世界を映像で堪能!
アガサ・クリスティの探偵ポアロ・シリーズ「ナイルに死す」をジョン・ギラーミン監督、ピーター・ユスティノフ主演で映画化。A・クリスティ作品の映画化は、先に「オリエント急行殺人事件」、後に「地中海殺人事件」があるが、筆者はこの作品がもっともオーソドックスなミステリーで一番好みだ。
「探偵<スルース>」のアンソニー・シェーファーの脚本が素晴らしく、多彩な登場人物が見事に整理されている。原作を読んでいなくても犯人は凡そ見当がつくが、そのプロセスを映像で見せる過程が面白い。
ポアロ役のP・ユスティノフは原作のイメージとは若干違うように感じたが、この映画での違和感は全くない。共演者も豪華で、ミア・ファーロー、ロイス・チャイルズ、オリビア・ハッセーの若手や、デヴィッド・ニーヴン、ジョージ・ケネディ、ジャック・ウォーデンなどのベテラン男優陣で色とりどり。ベテラン女優陣が個性豊かで「クリスタル殺人事件」でマープルを演じたアンジェラ・ランズベリーや、ベティ・デイヴィスとマギー・スミスの掛け合いが際立っていた。
エジプトでのロケがフンダンに登場して、観光旅行した気分にも浸れるのも楽しい。