晴れ、ときどき映画三昧

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「道」(54・伊) 85点

2013-12-13 07:36:55 | 外国映画 1946~59
 ・ フェリーニの最高傑作。

     
 粗野で不器用な大道芸人・ザンビーノ(アンソニー・クイン)は孤独に慣れていて、ジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)を単なる助手として扱う。世話になった尼僧院で、銀製の像を平気で盗もうとする。果してこの男にも良心があるのだろうか?A・クインは本能のまま行動する男になりきっていて、まさに適役だ。
 
 ジェルソミーナは天使の生まれ代わりのような少女。ザンビーノに出会って最初の恐怖感から曲芸師キ印(リチャード・ヘイスワート)の「この石ころのように、この世にはどんなつまらないものでも役に立つときがある」という言葉に納得し、ひたすらザンビーノについて行く。

 フェデリコ・フェリーニ監督・脚本による旅廻り大道芸人と純粋無垢な知的障害の少女の切ない物語。ヴェニス映画祭銀獅子賞、オスカー最優秀外国語映画賞、受賞作品。

 ジェルソミーナを演じたJ・マシーナは実生活ではフェリーニ夫人で、終盤登場しなくなっても気になる存在感を見せ、彼女の代表作となった。

 映画音楽には、ストーリーとは無関係にメロディだけで印象深いものがあるが、哀愁漂うニーノ・ロータのこのテーマ音楽は、ストーリーと密接に結びついていて欠かせないものとなっている。

 <人間は喪失感を実感して初めて後悔する>ことを知らされる、フェリーニの最高傑作。