晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

「ブラッド・ワーク」(02・米) 80点

2013-12-26 07:53:03 | (米国) 2000~09 

 ・ 地味だがC・イーストウッドの世界

     
 犯罪記者出身の作家マイク・コリナー「わが心臓の痛み」を、クリント・イーストウッドが製作・監督・主演した元FBI捜査官のスリル満点のサスペンス。

 イーストウッドファンである筆者は、封切り当時2週間しか上映されないと知って、慌てて映画館に飛び込んだ記憶が蘇えった。「LAコンフィデンシャル」の脚本家でもあるブライアン・ヘルゲランドは、地味ながらスリル・アクション・ロマンスがほど良く配置されていて、心臓移植という特殊なテーマをシリアスにし過ぎずに手堅く纏める手腕はお見事。

 心臓移植がテーマの作品に「ジョンQ-最後の決断ー」や「21グラム」などがあるが、本作は大上段に扱わないのにテーマはしっかり訴えている。これは「トゥルー・クライム」で死刑・冤罪を扱ったのと同じで、老境に差し掛かったイーストウッドならではのテーマでもある。

 脇を固める出演者は仲間・相棒のバディにジェフ・ダニエル、依頼人にワンダ・デ・ジーザス、州警察保安官にティナ・リ・フォード、ロス市警刑事にポール・ロドリゲスなどとかなり地味なキャスティング。前半登場する女医に扮した「アダムス・ファミリー」でお馴染みのアンジェリカ・ヒューストンは、名監督ジョン・ヒューストンの娘でオスカー女優ならではの演技を披露してくれている。

 ロス固有の人種の多様性と、犯罪捜査の裏事情が織り込まれ、バランスもシッカリ取れている。終盤、犯人逮捕のアクションシーンがサービス過剰気味で冗長に感じたのが残念!