チャップリンの独裁者
1940年/アメリカ
映画史に残る反戦映画
shinakamさん
男性
総合
90点
ストーリー
90点
キャスト
85点
演出
85点
ビジュアル
80点
音楽
90点
いうまでもなくチャールズ・チャップリンの製作・監督・主演の名作。1940年公開というのも有名だが当時のアメリカが国策として作らせたのではないところが凄い。のちに赤狩りでアメリカを追われたのも皮肉な結果となった。
まさにチャップリンの映画製作の原点を見た思い。全編喜劇なのに史実をもとに人間のあらゆる欲を哀しむ視点が満載。世界を征服したいヒンケルと実直なユダヤの理髪師の2役のなかに両極にいる人間を対比しながら観客を巻き込んで行く。
前半のドタバタ調からヒンケル登場の中盤の周りに踊らされる独裁者の悲劇を笑いに包む手法はチャップリンの独壇場。ライバル・ナバロニ(ジャック・オーキー)とのシーンも傑作のひとつ。
ヒンケルの名参謀シュルツが追放されたあと、意外に自分の命は惜しむ人間性を見せたり、チャップリンが人間の多面性を皮肉る場面もあって単なる喜劇ではないことを証明した。
最後の演説シーンがこの映画のコンセプトであることは明らかだが、ここへ持ってくるための様々な創意工夫が見事である。