遊び人親子の日記

親子で綴る気まぐれ日記です。

僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー

2022年02月20日 12時26分08秒 | 読書

            僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー  

                     ブレイディみかこ(著)2019年6月発行

  出版直後から話題となり、著者本人も来日。かなりメディアにも登場しインタビューを受け  

  対談などをされていたので興味を持って観たり聴く機会が多く、本の内容を知ってるつもり

  になっていたのですが、他の著書は読んでいたけど、実は本書はまだ読んでいなかった。

  当時、注目度が高かったですからねえ。 で、今回、改めてゆっくり読んでみた次第。

  やはりとても興味深く面白かったです。

  著者は、英国で保育士として働く経験を経て、アイルランド系男性と結婚し家庭を持ち、

  一人息子が産まれ、英国南部の地方都市に住み、子育てを通して地域社会との関わりつつ、

  人種問題や格差や差別など様々な困難な社会の現状を知り、悩み、考え、前へと歩んで

  行こうとしている。

  とにかく、英国社会が抱える根深い問題が次々と現れるのだが、それらを客観的に捉え

  冷静によりよく対処しようとする彼女の姿がなんとも頼もしい。

  本書は、そんな彼女の息子が特にトラブルなく過ごしていたカトリックの小学校から

  地元の「元底辺中学校」に入学したことから、差別や格差、複雑でトリッキーな友人関係に

  直面し困惑、悩むことになる。そんな息子と友人たちとの中学校生活の最初の一年半が、

  コンパクトながらもわかりやすく描かれ、非常に興味深い。

  息子に相談され、彼の悩み、迷いを身近に見守っている彼女自身も大いに悩み、迷い、

  深く考え、そして行動、上手くいくこともあれば失敗もあり、、、そんな過程も詳しく

  書かれているので、シンパシーとエンパシーの差なども意識しながら読んだ。

  彼女はこう書いている・・・ 

  「老人はすべてを信じる。中年はすべてを疑う。若者はすべてを知っている」と言ったのは

  オスカー・ワイルドだが、これに付け加えるなら、「子どもはすべてにぶち当たる」になる

  のだろうか。どこから手をつけていいのか途方にくれるような困難で複雑な時代に、そんな

  社会を色濃く反映しているスクール・ライフに無防備にぶち当たっていく蛮勇(本人たちは

  大したこととも思ってないだろうが)は、くたびれた大人にこそ大きな勇気を暮れる。

  きっと息子の人生にわたしの出番がやってきたのではなく、わたしの人生に息子の出番が

  やってきたのだろう。・・・

  読み終えてから、上記の本書の「はじめに」にある文を読み直し、じんわりと感動。

  どう考えても、そもそも11歳として、とても賢く思いやりあり冷静で行動力もある息子と

  して育っている段階で、ここまで育てた母力を尊敬してしまう。

  こんな母親として子どもと関わっていたら、我が子の人生も違っていたのではないか、、、?

  反省させられることも多々あり苦しいところもあるが、そんな風に考えさせられる本書は

  とても読みやすい名著!と今更ながら思わされた。

  今後、日本がぶち当たる教育、人種、格差などの様々な問題の解決を考える際の

  テキストに最適。大いに参考になりそうです。

  ついでに、お節介ながら、息子さんが将来どんな大人になるのか楽しみ・・・なんてね。

     わがまま母

  

  

コメント
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