遊び人親子の日記

親子で綴る気まぐれ日記です。

金の仔牛

2013年05月29日 13時33分52秒 | 読書

    金の仔牛    佐藤亜紀(著)2012年9月発行

  18世紀のパリを舞台に、
  (チューリップ狂時代(オランダ)や南海泡沫事件(イギリス)と
  ともに、史上三大バブル経済の喩えのひとつとされている)
  “ミシシッピ会社計画”の発生とその後が描かれた物語。
  ミシシッピ株バブルを解説しながらも
  莫大な借金にあえぐフランス、その膝下パリで生きる
  様々な階層の人物が絡み合い、それぞれの思惑が交錯し
  多様な人間模様を描きつつ展開するストーリーは、
  なかなかに痛快でスリリング、楽しめます。

  ミシシッピ会社株バブルを計画したのは、
  天才かつイカサマ師だった「ジョン・ロー」。
  「需要と供給で価格が決まる」という法則を発見、
  巧みな市場操作で、パリにバブルを発生させる。
  
  このミシシッピ会社への熱狂的な投機ブームを背景と
  した歴史小説であり、且つ紙幣(=株)システムの
  誕生やインフレやバブルの仕組みを面白く解説した
  経済小説でもある。

  主人公は若い追いはぎ「アルノー」と若い愛人なのだが
  彼等を操り、ミシシッピ株を暴騰させる謎の老紳士によって
  アルノーは、みるみる株式相場の錬金術師へと変貌をとげ
  彼は、成金青年実業家となっていく。
  株の転がし方や、ただの紙でしかなかった紙幣を金へと
  変えていく経過が、とても面白く描かれていて、
  現在の金融と共通するところが大。

  アルノー、謎の老紳士の他にも、
  裏街道を歩む故買屋、泥棒の親方、冷酷な貴族、
  表の顔は金細工師で策士な三兄弟、狡猾な金貸し、、、
  こんなユニークなキャラクター達がミシシッピ株のバブルを
  めぐり、騙し騙され命がけのマネーゲームを繰り広げる。
  個人的には、金細工師の三兄弟がなかなかに魅力的でした。

  世の中がアベノミクスとやらで浮かれる株式市場を
  斜めに眺めながら、この小説を読んでおり、
  そろそろ危なそうだな~、、、なんて思いながら
  読み終わるころに、ちょうど1,000円の急落、、、。
  タイミングがいいのか悪いのか、、、。
  まあ、好き嫌いは別として、
  歴史、経済の勉強になる面白く、上手い小説ではありました。
  
    わがまま母
  
  
  

  
コメント
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