2199冊目はこの本。
鈴木智之『「心の闇」と動機の語彙』(青弓社、2013年)
久々に社会学系で「まとも」な本に出会った印象。少年事件報道など1990年代~2000年代初めごろの新聞記事の検討を軸に、「心の闇」というキーワードがどのように用いられ、どのような人々の意識を駆り立てていったのかについて考察を加えている。そこで中心となっているのは、犯行動機などを理解するために私たちが使う「動機の語彙」の問題。この本の内容は、「心の闇」ということばが、私たちが手持ちの「動機の語彙」を増やして、「凶悪」な犯罪を引き起こした少年らの背景を理解しようとするのではなく、むしろその拒絶や断念、あきらめの上になりたっている・・・・という見方もできることを示している。