できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

講演や研修の依頼の仕方でわかることも多々ある。

2011-02-08 23:32:35 | 学問

ツイッターのほうでも少し連続してつぶやきましたが、こちらでも「まとめ」的に書いておきます。

先週、今年夏休みの職員研修で子どもの人権関連の話をしてほしいと、ある民間研究団体経由で、とある自治体(ここではA市としておきます)からの依頼を受けました。そして、そのA市に「こんな講座を企画している」ということがわかるような文書を大急ぎで書いてほしいと、その研究団体からあらためて依頼がありました。

で、その民間研究団体からの連絡のメールを見て、私はびっくり。要はこの依頼、「講師に丸投げ」状態の企画で、こちらから提案すればそれが全部通ってしまうような、そんな形でその民間研究団体にA市はお願いしてきていたのです。

「なんて無責任な・・・・」というのが、依頼もとのA市に対する正直な私の実感。これだけで「子どもの人権」に関する自治体行政の課題についてどれだけ問題意識があるのか、A市の研修担当者のレベルがわかってしまいますよね。

これに対して、先月末に大阪市の西成で障害のある子どもたちの職場体験活動をすすめている市民グループからの依頼の場合、自分たちが今、どんな活動をすすめているのかという説明があった上に、その活動と子どもの権利条約との関係を考える学習会を、ボランティアや団体のスタッフなどと開きたい、という趣旨で依頼がありました。これだと、私は何をその学習会で話せばいいか、具体的ですよね。

あるいは、多くの自治体の職員研修や社会教育などでの人権講座の場合、必ずといっていいほど、事前にその研修や講座の担当者の方が、メールや電話で直接連絡をくださったり、あるいは、わざわざ大学や自宅の近辺まで来てくださって、ていねいに打ち合わせをするケースが多いです。

たとえば、大阪府内の青少年会館職員の研修を昨年末に行ったのですが、そのときも研修の企画を担当されるある市(ここではB市、とします)の青少年会館のスタッフが、わざわざ西宮まで打ち合わせに来てくれました。そこで、今の府内青少年会館各館が直面する課題だとか、私がこれまでにまとめた論文や調査報告書の中身とその課題の関係とか、そんなことをひととおりふまえての研修の依頼だ、という趣旨を説明していただきました。

あるいは、その青少年会館職員の研修を聴いたという別の市(ここではC市、とします)の青少年会館の方から、年明けになって、「あのときの話を、ぜひうちの館でもやってほしい」という形で、次の依頼が入ってきました。また、このC市の青少年会館職員研修の打ち合わせも、近々、大阪市内で先方のスタッフとお目にかかって、きっちりやるつもりでいます。

こんな感じで、私としては、たとえばB市やC市の職員のみなさんだとか、あるいは先日の西成の市民グループの方のように、講座の企画や講演・研修の依頼に際しては、前もってきっちりと打ち合わせや何か連絡・調整の作業があってしかるべきだと思っています。また、そうやって依頼してきた方との共同作業で、はじめていい講座の企画や講演・研修の内容が作れるのだと思っています。だから、A市の研修のように「丸投げ」されてしまうとなぁ・・・・と思ってしまったわけです。

もっとも、これから夏休みまでかなり時間があります。ひとまず書類上の手続きだけこんな形ですすめて、あとでじっくり、A市側と講演内容をつめていければそれでいい、という思いもあります。

それと、たとえ「内容や運営方法などは講師に丸投げ」という形で私に依頼されても、それでも「子どもの人権について、自治体職員研修をやろうという意欲が見えるだけ、まだましかも?」という思いもあります。なにしろ、「子どもの人権」に関する職員研修にどれだけ熱心に取り組んでいるのか、きわめてあやしい自治体もあるわけですからね・・・・。

ただ、研修や講演、講座の企画などで依頼を受ける側のひとりとして、「どういう形で依頼をしてくるかによって、そのテーマに対する相手の側の問題意識や意欲・関心の度合いもわかる」という面があること。そのことだけは、研修や講座の企画の担当になった方、どうぞお忘れなく。こちらとしては、講師として私も出かける以上、お互いに実りのある講座や研修、講演にしたい・・・・と、いつも願っていますので。ぜひ、いい講座、研修、講演会を、いっしょにつくりましょう。

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