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京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

大津市議会、何をあせっているのだろう??

2013-02-21 08:51:33 | ニュース
http://digital.asahi.com/articles/OSK201302190151.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_OSK201302190151
(朝日新聞デジタル2012年2月20日付け:いじめ防止条例を可決 「子供の役割」明記 滋賀・大津)

前に私、このブログで、下記のことを書きました。
「大津市子どものいじめの防止に関する条例(中間案)に思うこと」
http://blog.goo.ne.jp/seisyounenkaikan/d/20121111

あのときにたくさん問題点を指摘した大津市の条例、ほとんど内容に修正がないまま、2月19日の大津市議会に条例案を出して、その日に可決・成立させてます。
「いったい、何を考えてるの??」としか思えませんね。
少なくとも市議会の対応としては、先月末に出された大津市の第三者委員会報告書の内容と照合して、この条例案で本当に大丈夫かを確認してから可決・成立させるべきこと。
そういう作業すら十分にしない大津市議会って、いったい「何をあせっているのか?」というしかありません。

特にあらためて思ったのですが、この条例の「学校の責務」の部分。道徳教育的なものを強化することでいじめ防止ができるという発想が見られるのですが、あの事件のおきた中学校は「道徳教育の研究指定校」だったんですよね。むしろ、そういう「立派な道徳教育」の行われているところで、あのような事件が起きたということ。そこを大津市議会はどう考えているんですかね?
あるいは、スクールカウンセラーなどの相談体制の充実ですが、今回の第三者委員会報告を読めば、その相談体制にもさまざまな課題があることが浮き彫りになっています。こうした点について、大津市議会は何も検討しないのでしょうか?
さらに、そもそも、学校における子どもの人権救済・擁護の課題は、いじめ問題だけに限定されません。体罰や「指導死」の問題、あるいは、他の理由による自殺の問題等々、いろいろあるはずです。その状況のなかで、いじめ問題にだけ特化した条例を制定するのでは、大津市として「子どもの安全・安心を守る」という面から見たら不十分きわまりないでしょう。
「4月から予算を組んで、何か制度をスタートしたい」という気持ちからこう動いたのかもしれませんが、それこそ市長・市議会で話し合って、必要があれば補正予算組めばいい話。別に無理に何もかも、4月に制度をスタートさせるなんて話にする必要ありません。
もう少しじっくりと、腰を落ち着かせて、「本当に大津市の子どもを大事に育てていくために、子どもの安全・安心を守るために、いったい、どのような条件整備が必要なのか?」ということを、大津市議会として冷静に議論をして、条例案を根本から練り直したほうがよかったのではないかと、私はあらためて思いました。

※なお、大津市の第三者委員会報告書の全文(一部黒塗りありですが)は、日本共産党滋賀県委員会の下記のページで読むことができます。
http://www3.ocn.ne.jp/~jcpshiga/sinbun.htm


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