![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/86/e37c1da973ad8449421c9c13eae34b2a.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/6a/df195e0fc810c0e916cf46d40704093a.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/fb/76334304f8e972c1fb7434254f6830cc.jpg)
10日のNHKスペシャル「自衛隊・変貌その先に」は、岸田政権が閣議決定(2022年12月16日)した軍拡(安保)「3文書」によって自衛隊がいかに「変貌」したかを特集しました。
「敵基地攻撃能力保有」や「日米軍事同盟深化」など、「3文書」によって自衛隊が米軍への従属をいっそう強め危険性を増していることは歴然で、NHKも否定はできません。そこで番組は、この「変貌」と「専守防衛」の関係に焦点を当てました。
始めから終わりまで番組構成の柱にしたのが「国家安全保障戦略研究会」(写真左)です。
同研究会は、元統合幕僚長や元防衛事務次官など自衛隊・防衛省幹部OB約10人で構成。防衛省の近くに事務所を構え、定期的に意見交換を行っています。「3文書」が閣議決定される前に政府に「提言」を提出し、その内容に大きな影響を及ぼしました。議論の焦点になったのは、「専守防衛」という文言を残すかどうかでした。
同研究会の議事録やメンバーへのインタビューを柱としたNスぺの結論は、「専守防衛の範囲内ということできちんと説明することが必要」という黒江哲郎元防衛自見次官(写真中)の言葉で締めくくられました。そして、ナレーションに「変貌する自衛隊のかじ取りの責任を最後に負うのは私たち(「国民」)自身です」と言わせ、自衛隊と「国民」の一体化を図って番組は終わりました。
「専守防衛」など戦争法(安保法制、2015年9月1日成立)で集団的自衛権を容認した時点で名実ともに崩壊しています。番組は「専守防衛」どころか敵基地攻撃=先制攻撃容認に踏み込んだ自衛隊を擁護するプロパガンダと言わねばなりません。
そんなウソにまみれた番組の中で、注目された「マコト」が1つありました。
それは、阪神・淡路大震災や東日本大震災などでの自衛隊の救援活動にあこがれて入隊した隊員(施設課)が、「3文書」によって南西諸島での戦闘に備え、陣地構築の最前線に配置され困惑している実態を紹介したことです(写真右)。隊員本人だけでなく、子どもたちが父親が参戦することになるかもしれないと不安を抱き、「戦争はいかんやろ」と訴える食卓のもようも映しました。
この隊員のように、自衛隊の災害出動にあこがれて入隊した、あるいは入隊しようとしている人は少なくないでしょう。それは防衛省・自衛隊の思うつぼです。しかし、自衛隊は言うまでもなく軍隊であり、主たる任務は戦闘です。いくら災害出動を希望しても、命令が下れば最前線に立つことになります。紹介された隊員のように“こんなはずではなかった”と思っても遅いのです。
災害時に人を救いたい、人の助けになりたいというきわめて崇高な思いを、軍隊の兵員確保に利用する政府防衛省・自衛隊のリクルート戦術はきわめて悪辣です。
憲法違反の軍隊である自衛隊を解散させることは当然ですが、その前にも災害救助を自衛隊から切り離し、救助・救援を専門とする組織を別途組織する必要があります。災害大国日本においてそれは絶対必要な緊急課題です。