アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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沖縄県議選・日本共産党の大敗は何を示すか

2024年06月18日 | 日本共産党
    

 16日投開票された沖縄県議選で、玉城デニー知事の与党勢力(「オール沖縄」)が改選議席24から4議席減の20議席で過半数を割る「大敗」(琉球新報)を喫し、「「オール沖縄」退潮の流れが鮮明に」(17日付沖縄タイムス社説)なりました。

 なかでも日本共産党は7議席から3議席減らして4議席に激減。「オール沖縄」の大敗は共産党の敗北によるところが大きいと言えるでしょう。

 「オール沖縄」・共産党の大敗は何を示しているでしょうか。

 佐藤学・沖縄国際大教授は、今回の結果は、「「オール沖縄」勢力にとって、壊滅的な打撃となる」したうえでこう指摘します。

「2014年の知事選挙における翁長雄志勝利以来続いていた「辺野古反対によりまとまった」「保守も経済界も参加した」一大勢力が、10年がたち、ついえたということである。
 「オール沖縄」から保守政治家が離脱し続けたのに並行して、経済人も離反していった。「オール沖縄」は細っていく支持基盤を死守したい、県政与党の選挙互助会に陥っていたのではないか」(17日付琉球新報、抜粋)

 「辺野古新基地反対」の一点で結集しているのが「オール沖縄」です。その枠組みを維持するため、一致しない重要な政治課題は棚上げしてきました。
 その最たるものが、日米安保条約(軍事同盟)反対(「全基地撤去」を含む)であり、自衛隊増強阻止です。安保条約の強い信奉者だった翁長雄志氏、自衛隊支持を公言してはばからない(沖縄防衛協会の顧問も務めた)玉城デニー氏を知事に担いだのはその端的な表れです。

 しかし、辺野古新基地の根源である日米安保問題を棚上げ・容認しては、辺野古新基地阻止のたたかいにも限界があります。それが示されたのがこの10年間ではなかったでしょうか。

 そして、自衛隊増強・ミサイル基地化が大きな問題になっていま、それと正面からたたかえない(たたかわない)「オール沖縄」が支持を失うのは当然ではないでしょうか。

 実は「オール沖縄」陣営もようやくそのことに気付きはじめていました。
 沖縄タイムスが「辺野古の新基地建設阻止を掲げるオール沖縄勢力内で、新たな基軸に南西諸島の自衛隊配備強化の是非を加える動きが出ている」(1月23日付)と報じたのは5カ月前です。「辺野古反対の一点で結集した現状の運動方針では自衛隊の増強に対抗できないとの懸念が勢力内から上がっているため」(同)でした(2月15日のブログ参照)。

 しかし結局、「オール沖縄」は「自衛隊増強反対」を運動方針に加えることができませんでした。「オール沖縄」の枠組みに執着したからです。佐藤氏が「支持基盤を死守したい県政与党の選挙互助会に陥っていた」と指摘するのはこういうことでしょう。

 「オール沖縄」に拘泥することで、安保条約・自衛隊問題を正面から追及できなかった(しなかった)、その典型が共産党です。自衛隊支持の玉城知事の下で「自衛隊増強反対」も大きく打ち出さず、安保条約廃棄にいたっては口にもしなくなった。そんな共産党のどこに存在価値があるでしょうか。有権者から見放されるのは当然でしょう。

 これは沖縄だけの現象ではありません。安保条約を積極的に支持する立憲民主との「共闘」のために、安保・自衛隊に関する主張(政策アピール)を自主規制する。そんな共産党から従来の支持者も離れていっているのが同党の現状ではないでしょうか。

 今回の沖縄県議選の大敗は、「オール沖縄」のみならず、共産党の前途に対する厳しい警鐘と言えるでしょう。

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