アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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沖縄・ハーリーへの自衛隊参加は容認できない

2024年06月08日 | 沖縄と日米安保・米軍・自衛隊
   

 沖縄の伝統行事であるハーリー(爬龍船競争)(9日)に陸上自衛隊が参加しようとしていることが問題になっています(写真右は名護漁港のハーリー=琉球新報より)。

「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会は6日、宮古島市内で記者会見を開き、9日に宮古島平良漁港で開かれる久松海神祭のハーリーに陸上自衛隊宮古島駐屯地の自衛隊員が参加することに抗議した(写真左)。

 同連絡会は「沖縄の伝統文化である行事に軍事組織の構成員が参加することは適当だとは思えない」とした。

 同連絡会メンバーは、「自衛隊がかつての日本軍と同化・一体化するような風潮、戦前の総動員体制を想像させるような空気を、住民生活の中に持ち込ませることに反対する」との見解を読み上げた」(7日付琉球新報)

 同様の事態が石垣島でも起こっています。

「陸上自衛隊石垣駐屯地が、舟の操作技術向上のための「漕舟訓練」で9日に石垣市と竹富町西表島のハーリー大会に公務として出場する件で、石垣島の平和と自然を守る市民連絡会は5日、駐屯地に公務参加を中止するよう求める申し入れ書を手渡した(写真中)。

 市民連絡会は「神聖な地域行事、伝統行事」である各種ハーリーに「軍事訓練として参加することは到底容認されるものではない」と訴えた」(7日付琉球新報)

 ハーリー(糸満や港川では「ハーレー」)は、沖縄各地の漁港で航海安全と大漁を祈願する海神祭として行われます。5月5日の端午の節句を祝う風習のない沖縄では、旧暦の5月4日に行われるハーリーが「男の子の節句」でした。ハーリーの日には、舟こぎ競争の前に、村の神役と選手はウタキ(御嶽)などの聖地でお祈りします。(以上は高良勉著『沖縄生活誌』岩波新書2005年より)

 このハーリーに自衛隊が参加することはきわめて重大です。

 第1に、大漁と航海安全を祈願する神聖な伝統行事であるハーリーに、軍隊(兵士・部隊)が参加することは、「非武の島」(沖縄)の平和的伝統・文化を軍靴で汚すことにほかなりません。それは、ヤマトが琉球を武力侵略し伝統・文化を踏みにじった歴史に通じます。

 第2に、日米安保条約(軍事同盟)の深化による八重山諸島の自衛隊増強に対して住民の反対が巻き起こっているまさにその渦中でのハーリー参加は、自衛隊に対する反感・反発を抑え、ミサイル基地化を強行する宥和政策にほかなりません。

 宮古島では4月に開催された全日本トライアスロン宮古島大会にも自衛隊が関与していました。これについてミサイル基地いらない宮古島住民連絡会の上里清美共同代表は、「軍事的なものをにおわせるような自衛隊員が(運営に)関わっていたことに大きな違和感があった」と訴えています(7日付琉球新報)。

 以上の2点は、「私的参加」であろうと「公務参加」であろうとその本質になんら変わりはありません。自衛隊のハーリー参加は絶対に容認できません。

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