アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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ガザの餓死はイスラエルの「飢餓政策」による大量虐殺

2024年06月03日 | 国家と戦争
   

 イスラエルの攻撃によって、ガザの飢餓状態が深刻の度を深めています。

 国連WHO(世界保健機関)の担当者は、「85%の子どもが何も食べられない日が3日に1度はある。支援物資が届かず子どもたちは飢えている」と発表しました(1日夜のNHKニュース)。

 カタールのメディア・アルジャジーラは、「市場には何も売っていない。炊き出しも食材がなくて困難になっている」という現地の市民の声を伝えています(5月31日NHK「キャッチ!世界のトップニュース」、写真左・中)

 ガザの飢餓状態を日本のメディアは「人道的危機」として報じますが、それは正確ではありません。

 著書『戦争と農業』(インターナショナル新書2017年)で、「ナチスの選民的飢餓計画」(政策として飢えの状態をつくり、数千万人の人々を餓死させる計画)を告発した藤原辰史・京都大准教授(農業史・環境史)(写真右)は現在のガザにおける飢餓状況をこう指摘しています。

「ガザ地区では、住民の半数とも言われる人々を飢餓が襲い、子どもも餓死している。これもイスラエルによる意図的な飢餓であると複数の国際機関が批判している。封鎖による飢餓政策は、良心の呵責をあまり抱かずに大量に人を殺すことができる極めて悪質な行為だからだ」(5月14日付京都新聞=共同)

 ガザの飢餓はイスラエルによる「飢餓政策」によってつくられたものであり、それは大量虐殺にほかならない、という指摘です。

 さらに藤原氏は、それを歴史的な視点で捉える重要性を強調します。

「イスラエルは建国以来、パレスチナ人たちの土地を暴力で奪い、オリーブやオレンジの木をなぎ倒し、彼らが住んでいた家に入植してきた…イスラエルが食料自給率九割の農業大国になった理由は、ヨルダン川西岸自治区の水源を奪い、パレスチナ人農民たちに農業をあきらめさせてきたからだ。

 なぜ、イスラエルは、2007年からガザ地区を封鎖し、食料も水も電気も制限し、川と海を汚染してきたのか。なぜ、イスラエルはモンサントン社などの除草剤をパレスチナ人の農地に散布して汚染しても裁かれないのか。なぜ、イスラエルは、漁をするパレスチナ人漁師を銃撃し、殺害してきたのか」(同)

 そしてこう結んでいます。

「問わねばならないのは…ずっと国際社会で、イスラエルがパレスチナ人の生を危機に追いやってきた行為が非難されてきたのに、日米やドイツなどがイスラエルを支持し、こうした犯罪を覆い隠してきたことだ」(同)

 今日のガザの事態は、2023年10月7日が起点ではありません。それはガザ市民の飢餓・餓死についても言えることです。

 食料・農業と戦争・植民地支配の関連、「飢餓政策」を大量虐殺として捉えることの重要性、そしてアメリカに追随してイスラエルの犯罪行為を容認・支持してきた日本の責任の重大さを改めて痛感します。

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