アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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「日本・ウクライナ協力協定」は対米追随の憲法違反

2024年06月15日 | 国家と戦争
   

 岸田文雄首相は13日、G7 サミットが行われているイタリアでウクライナのゼレンスキー大統領と会談し、ウクライナ支援の「二国間協力協定」に署名しました(写真左)。

 同様の「協力協定」は昨年のG7 広島サミットの際にも調印されましたが、今回はさらにエスカレートした内容になっています。それは、「ロシアの新たな攻撃が発生した場合、日本とウクライナの両政府が24時間以内に協議すること」(14日付朝日新聞デジタル)が盛り込まれたことです。そして、「協定の有効期間は10年間」(9日付京都新聞=共同)とされています。

 「24時間以内に協議」してどうするのか。「サイバーセキュリティーや情報操作に連携して対応していく」(同朝日新聞デジタル)といいます。

 ウクライナがロシアから攻撃を受けたら直ちに日本と協議し、「サイバーセキュリティーや情報操作」などで日本が「連携」する。これは日本がウクライナとロシアの戦争に直接かかわる、戦争当事国のウクライナと一体となることにほかなりません。

 この「協力」は「復興支援」ではありません。明白な軍事支援あるいは戦争参加です。協定は「可能な範囲で防衛支援を行うとした」と「防衛(軍事)支援」という用語を使った報道もあります(14日昼のTBSニュース)。

 こうした軍事支援は、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」という憲法9条(第1項)の明白な違反です。

 また、「紛争当時国」には兵器の輸出はしないとしている「防衛装備移転3原則」(2014年)にすら反しています。

 一方、ウクライナとアメリカは同じ13日、やはり「安保協力協定」を締結しました(写真右)。ゼレンスキー氏は「歴史的な日」と最大評価しました。

 ホワイトハウスの発表によると、その内容は、「ウクライナ軍強化のため兵器供与や軍事訓練を行う」とするとともに、「ウクライナが今日直面している戦争に勝利するだけでなく、将来のロシアの侵攻を抑止することも目指す」とし、「ロシアが再び武力攻撃またはその恐れがある場合、24時間以内に高いレベルで協議する」としています。そして、「協定の有効期間は10年間」とされています(14日NHK「キャッチ世界のトップニュース」)。

 「24時間以内に協議」「有効期間10年間」―日本・ウクライナの「協力協定」とアメリカ・ウクライナの「安保協力協定」はまさに相似形なのです。

 今回の日本とウクライナの「協力協定」は、日米軍事同盟(安保条約)の下でアメリカの世界戦略の従属した、憲法違反の軍事協力協定にほかなりません。しかもそれが現在のウクライナ戦争だけでなく今後「10年間」続く。絶対に容認できません。

 こうした重大な対米従属・憲法違反の協定が、十分な報道もなく、批判も受けず、締結され通過している事態は極めて深刻です。

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