人々が「新型コロナウイルス」の不安に駆られ、メディアがコロナ報道に集中している中、重大問題が無風状態で通過しようとしています。軍事費の異常な膨張です。
臨時国会で議論されるべき国政の最大問題は、「10万円給付」ではなく、まして「文書交通費問題」などではなく、軍事費膨張問題です。
岸田政権が提出した補正予算案で、軍事費は7738億円にのぼっています。補正予算としては過去最大。その主な内容は、ミサイルなど新規主要兵器を前倒しで取得するもので、補正予算としてはきわめて異例・異常です。
「最も多いのは装備品の複数年にわたる「分割払い」を前倒しで支払う経費で、4287億円を占めた。今回の特徴は、新規主要装備品の取得費用だ。海上自衛隊の哨戒機「P1」3機(658億円)、地上配備型迎撃ミサイル「PAC3」改良型(441憶円)、航空自衛隊の輸送機「C 2 」1機(243億円)など、(いずれも契約ベース)。いずれも22年度予算で取得を目指していたが、前倒しで計上した」(11月26日の朝日新聞デジタル)
防衛省はすでに来年度予算の概算要求で5兆4000億円を計上しています。補正で「前倒し」したからといって概算要求を減額するわけはなく、軍事費は5兆4000億円に7738憶円が上乗せされることになります。
この異常な軍事費膨張の根源は、岸田首相が所信表明で強調した「日米同盟の一層の強化」であり、米バイデン政権の圧力です。バイデン大統領は岸田氏承認直後から軍備拡張を要求しました。
「首相就任直後の電話会談で…バイデン氏は…防衛力見直しの着実な進展に期待を示した」(11月28日付共同配信)
コロナ禍で暮らしや営業が大打撃をうけ、貧困が深刻化している中、平和に逆行する最大の無駄遣いである軍事費の膨張は絶対に座視できません。
しかし、国会ではこの問題がまともに議論・追及されることはありません。
岸田首相の所信表明に対する代表質問(8日)で、立憲民主の新代表・泉健太氏は、約30分質問しましたが、軍事費問題にはひとことも触れませんでした。「敵地攻撃能力」問題にも触れませんでした。
立憲民主はもともと「日米安保支持」が基本方針ですが、軍事費の異常な膨張に歯止めをかけることさえもしない、できないのです。これが「野党第1党」の実態です。
自民党の茂木敏充幹事長が代表質問で、「日米同盟の強化」を何度も口にし、「防衛力の強化」「敵地攻撃能力保持」を強調したことときわめて対照的です。
ところで、岸田首相の所信表明の全文を新聞で読んで、目を疑いました。岸田氏は演説をこう締めくくっていました。
「国の礎は「人」です。…医療、観光、農業、保育、被災地、自衛隊。…果敢に挑戦をし続ける。このことにより、日本は、大きく変わることができる」
医療や保育などと並べて「自衛隊」=軍隊を「日本を大きく変える」「国の礎」として挙げたのです。敗戦後の国会演説で、自衛隊=軍隊をこのような文脈で称賛した首相がかつていたでしょうか。
岸田氏の異常な「自衛隊」賛美と、日米軍事同盟の強化、軍事費の膨張は、決して無関係ではありません。
沖縄で急速に進行している自衛隊の民間施設使用。それと同時並行的に強まっているのが米軍と自衛隊の一体化です(写真中は自衛隊と米軍の合同演習=防衛省サイトより)。
「航空幕僚監部(空自)は11日、宮古島と石垣島の北方空海域で、米空軍と9日に共同訓練を実施したと発表した。…訓練域に設定されていない空海域での初めての実施…尖閣諸島に近い空海域での初めての訓練」(12日付琉球新報。写真左は防衛省がプレスリリースした写真で、与那国島で東シナ海を眺める自衛隊と米軍のトップ=12日付琉球新報)
在沖米軍トップの四軍調整官ジェームズ・ビアマン中将は就任式典後の記者会見で、「沖縄は自衛隊と演習や潜在的な作戦を遂行する上で理想的な位置にある」(10日付琉球新報)と、沖縄での米軍と自衛隊の一体化の狙いをあけすけに述べています。
こうした中、全国で行われる自衛隊統合演習(19日~30日)に、「米軍も初めて参加」(12日付琉球新報)します。沖縄県内での米軍参加はないとされていますが、逆に、「自衛隊は米軍基地や訓練施設の一部も使用する方向で調整を進めているという。…訓練目的で自衛隊による米軍基地の使用が進むと、沖縄全域が日米の訓練場と化していく懸念も一層高まる」(11日付琉球新報)のは必至です。
こうした沖縄における米軍・自衛隊一体化の加速は、日米軍事同盟(安保条約体制)全体が新たに危険な段階に入ろうとしていることと切り離せません。(写真右は「日米同盟の強化」を宣言した4月の日米首脳会談)
< 政府、安保戦略を来年に初改定 「敵基地攻撃」の明記検討 >
こんな大見出しの記事が9付の日経新聞に載りました。「政府は外交・防衛の基本方針「国家安全保障戦略」の改定に向け、与党との協議を月内に始める。…日米同盟の強化を見据えた安全保障の議論に乗り出す」。
2013年に制定された同「戦略」が改定されるのは初めて。「想定される議論のポイント」は、「敵基地攻撃能力の保有明記」「防衛費増額の方向性」「宇宙、サイバーなど新領域の防衛」などだと報じられています。
こうした一連の自衛隊の行動拡大、米軍との一体化に対して、基地周辺地域はじめ市民の批判・反対運動が強まることが当然予想されます。現に沖縄では宮古島、石垣島などでそうした状況が続いています。この市民運動を弾圧するための手段が「土地規制法」です。
「この法律は、戦争施設などの周辺や国境離島から基地監視活動や基地反対運動をする住民を排除して基地の中を国民の目から覆い隠し、これらの活動をする者を「安全保障に反する者」として規制することで、戦争する国づくりを進める」(仲松正人弁護士、10月21日付沖縄タイムス)
戦争法(安保法制)と「土地規制法」は一体であり、その廃止は急務です。この2つの悪法の廃止を日米安保条約廃棄の世論拡大につなげ「戦争する国づくり」に歯止めをかけていくとは、日本の喫緊の課題です。
9日正午のNHKニュースは、トップで「自衛隊医療チームが旭川に到着」を、そして次に、「防衛省、新型イージス艦2隻建造の案」を報じました(写真左、中)。コロナ禍での自衛隊派遣の直後に新たな軍備増強。見え透いた図式にあきれ返ります。新型イージス艦2隻建造の費用は「4800億~5千億円以上かかる」(11月25日付中国新聞=共同)と試算されています。
旭川へ派遣された自衛隊の医療チームは、看護官ら5人のチームを2チーム計10人、期間は21日までの11日間。医療スタッフ不足の深刻な現状では焼け石に水です。しかもやることは「診察時の補助や食事の配膳など」(9日の報道)。旭川の現場スタッフは、「(自衛官には)ゴミ捨てだけでも…」(8日の報道ステーション)と言っています。それなら別に自衛官でなくてもできるでしょう。
もちろん、たとえ少人数・短期間で「配膳」や「ゴミ捨て」でも、支援の手はないよりあった方がいいのは当然です。しかし、この間繰り返されているNHKはじめメディアの「自衛隊派遣」報道は明らかに過大評価・誇大報道です。
しかも、自衛隊は自らがクラスターになっているのです。
「北海道は2日、道南西部の離島・奥尻島の奥尻町にある航空自衛隊奥尻島分屯基地で新型コロナウイルスのクラスターが発生したと発表した。感染者は20~40代の自衛官計17人」(12月3日付産経新聞)。軍隊である自衛隊は感染の温床です。「支援」の前にまず自らの感染対策に万全を期すべきでしょう。
「自衛隊派遣」の誇大報道がもたらすものは何か。それは「自衛隊は医療現場を助ける正義の味方」という幻想と、政府のコロナ対策の無為無策・失政の隠ぺいです。
第1に、現在の医療従事者不足は、歴代自民党政権が新自由主義の下で医療・福祉体制を大幅に削減してきた結果にほかなりません。
「行財政改革の影響を受け、保健所の設置数は20年度までの約30年間でほぼ半減。常勤職員も1995年度の約3万4千人から6千人減った」(6月28日付中国新聞=共同)
「自衛隊派遣」はその政府の根本的責任を覆い隠します。
第2に、コロナ禍が発生して以降も、政府は現場の実態を無視し、関係者の切実な声に耳を貸そうとしてきませんでした。
日本看護協会常務理事の鎌田久美子さんは8月の時点でこう警鐘を鳴らしていました。
「業務逼迫はコロナ流行以前にも既に指摘されていたが、人員の問題は放置されていたと言って過言ではない。…今は何とか持ちこたえているが、このままでは第2波、第3波に到底耐えられない。都道府県の看護協会と連携して自治体に人員確保を要望したい」(8月15日付中国新聞=共同)
今日の医療現場の窮状は、こうした当事者の声を無視してきた安倍・菅政権が招いたものです。
第3に、これほど深刻な状況になっているにも関わらず、菅政権はいまだに「GOTOキャンペーン」を止めようとしていません。医療崩壊寸前で自衛隊派遣を要請せざるをえなかった旭川への「GOTOトラベル」も中止していません。
「GOTO」を続けながら自衛隊を派遣するのは矛盾も甚だしいと言わねばなりません。「GOTO」は自衛隊の出番をつくるためのものでしょうか。
第4に、これが最大の問題ですが、「正義の味方・自衛隊」キャンペーンは、軍隊である自衛隊の本質を覆い隠し、6年連続5兆円を超える軍拡への批判・軍事費削減を求める声を抑え、日米軍事同盟のいっそうの強化へ道を開きます。その重大性はいくら強調してもしすぎることはありません。
今回、コロナ禍での自衛隊派遣の陰で新型イージス艦2隻、さらに敵地攻撃能力をもつ「スタンド・オフ・ミサイル」(来年度予算335億円)導入が決定・表明され、それがセットで大きく報道されたことは、政権とメディアが一体となって繰り広げる自衛隊賛美報道がいかに危険であるかを絵に描いたように示したものです。
アメリカの恥部を露呈している大統領選。その勝敗を興味本位で眺める前に、「日本経済」にどう影響するかというメディアが煽る関心の前に、私たち日本人には、アメリカとの関係で考えねばならない重大な問題があるのではないでしょうか。
「土のうや命綱 自衛官に学ぶ 尾道の〇〇中で講座」。先日の中国新聞(1日付)にこんな見出しの記事が地方版に載りました(写真中)。「自衛官による防災出前講座」です。この日(10月31日)は「陸上自衛隊第13施設隊と自衛隊広島地方協力本部の計15人が講師」。15人の迷彩服(戦闘服)を着た自衛官(軍人)が中学校で「講座」を行ったのです。
「自衛官の出前講座」は広島市内の学校でも行われたと以前ローカルニュースで見ました。広島県内の各地で行われているようです。「校外学習」として児童・生徒の方から自衛隊基地へ出向くケースも少なくないようです。
自衛隊の学校への進出、子どもたちとの接近は、もちろん、広島県だけの問題ではありません(写真左は水害に遭った学校を掃除する自衛隊)。
住民の反対を押し切って自衛隊ミサイル基地の建設が進められている沖縄・宮古島では9月はじめ、市内の3つの小学校で修学旅行に陸上自衛隊基地を訪れる計画がありました(9月5日付沖縄タイムス)。「市内の旅行社と学校が協議して決めた」(同)ものですが、幸い「保護者らの苦情などから予定を変更し、旅程から外した」(同)といいます。
自衛隊が浸透を図っているのは学校だけではありません。
コロナ禍における島根原発の防災訓練が10月28日、島根県と鳥取県の合同で行われましたが、ここに自衛隊幹部が参加しました(10月29日付中国新聞)。
10月にクラスターが発生した北海道では、県のコロナ対策会議に自衛隊幹部が参加しているもようが映像で流れました(写真右)。
これらは最近新聞やテレビで目にしたものだけですから、氷山の一角にすぎないことは明らかです。自衛隊の学校・子どもたちへの接近、さらに自治体へのコミットが全国的に広がっていることは間違いないでしょう。
こうした状況はもちろん「コロナ」以前からありましたが、コロナとの関係でとりわけ見逃せない問題があります。
1つは、コロナ禍で非常事態宣言も発せられるなど社会不安が広がっている中、自衛隊がそれに乗じて存在を浸透させていることの意味です。社会不安と軍隊の結合です。
もう1つは、コロナ禍は私たちにこれまでの政治・社会のあり方を抜本的に見直すことを求めており、その最大の課題は軍事費の削減・撤廃、軍事同盟・軍事ブロックの解消です。自衛隊の社会への浸透策動は、これに真っ向から逆行するものと言わねばなりません。
自衛隊は憲法違反の軍隊です。いまでは年間軍事費が5兆円を超える世界有数の軍事組織に膨張しました。それが日米安保条約(日米軍事同盟)によるアメリカ追従の軍隊としての膨張であることは言うまでもありません。アメリカからの要求・圧力は、だれが米大統領になろうと、今後ますます強められることは明白です。
コロナ禍での米大統領選を目の当たりにして、私たちがやらねばならないことは、日米安保・軍事同盟の解消であり、それに向かって政治・社会の舵を大きく切り直すことではないでしょうか。
「コロナ禍」での安倍政権の火事場泥棒は、辺野古新基地建設工事再開(12日)だけではありません。あまり注目されていない(メディアが大きく扱っていなし)重大な問題が、自衛隊の宇宙軍(「宇宙作戦隊」)の発足です(5月18日、写真左)。宇宙の専門部隊は日本で初めてです。
発足時の隊員は20人ですが、河野太郎防衛相は、「小さく生んで大きく育てる」(5月15日の記者会見)と公言しています。
最大の問題は、日米安保条約によるアメリカとの従属的軍事一体化が宇宙にまで拡大することです。
自衛隊はすでに2016年から「宇宙監視」に関する米戦略軍主催の多国間机上演習に毎年参加しています。「宇宙作戦隊」の発足により「宇宙情報」を米軍と共有するシステムを2023年度から運用させる方針です。
米軍は2019年12月、陸・海・空と並ぶ独立軍として宇宙軍を1万6千人規模でスタートさせています。自衛隊の「宇宙作戦隊」がその傘下に入ることは明白です。
こうした米軍との一体化によって、憲法が禁じている集団的自衛権行使が宇宙にまで拡大することになります。
河野防衛相は記者会見(5月15日)でその点をきかれ、「特に現在、憲法上云々ということはない」としながら、「日米の詳細な話の内容については差し控える」と答弁を拒否しました(防衛省HPより)。
もう1つ重要な問題は、「宇宙作戦隊」が「JAXA(宇宙航空開発機構)としっかり連携していく」(河野防衛相、5月15日の会見)としていることです。
この背景には、政府・防衛省が研究費助成をエサに、大学や研究機関を傘下に置き、科学技術の軍事転用を制度化している問題があります。2016年度から始まった「安全保障技術研究推進制度」です。
防衛省の外局・防衛装備庁が研究課題を提示し、それに応募した大学や研究機関を審査し、採用されたものには年間1千万円~数億円の研究資金を出す。その研究成果を防衛省が軍事転用する、というしくみです。日本学術会議は2017年に、「政府による介入が著しく問題が多い」と批判する声明を出しています。
JAXAはいち早くこの制度に応募し防衛省から助成を受けています。ほかに大学では東京理科大や東京農工大、研究機関では理化学研究所、企業では富士通、パナソニックなどがこの制度に参加しています。
「宇宙作戦隊」がJAXAとの関係を緊密化していくことにより、こうした科学技術の軍事転用がいっそう促進されることになります。危機的状況です。
そんな中、国立天文台など9つの研究組織でつくる自然科学研究機構が、同制度への「不参加を決めた」との報道がありました(7日付中国新聞=共同)。
国立天文台(写真右)は防衛省にとって魅力的な組織です。天文台内部から防衛省の助成制度に参加すべきだとの意見が出たこともあります。国の交付金が削られ、研究費や人件費が不足しているからです。政府による兵糧攻めです。
それでも同研究機関は防衛省に従属することを拒否しました。「多くの科学者が関わる自然科学研究機構が不参加を決めたことの意義は大きい」(小寺隆幸・軍学共同反対連絡会事務局長、7日付中国新聞)と言えます。まさに英断です。
「コロナ禍」で医療・福祉体制の強化が切実に求められています。国の予算(税金)をどこに振り向けるのか。科学技術を何に使うのか。軍事か平和・医療・福祉か。その選択が「宇宙作戦隊」の発足によって改めて突き付けられています。
安倍首相は14日の自衛隊観閲式で、「すべての自衛隊員が強い誇りを持って任務を全うできる環境を整えるのは、今を生きる政治家の責任だ。私はその責任を果たしていく」と軍服姿の自衛隊員たちを前に大見得を切りました。
産経新聞(15日付)はその自衛隊観閲式のニュースと並べて、”これが安倍首相のいう「環境」だ“というように、驚くべき記事を載せました。「自衛隊ジブチ拠点恒久化 防衛省方針 海賊対処終了後も活用」(写真右)
防衛省が、「海賊対処」を名目に「自衛隊唯一の海外拠点地」としてアフリカ東部のジブチに置いている拠点(自衛隊基地)を、一時的なものでなく恒久的なものにする、というのです。自衛隊(日本軍)の恒久基地がアフリカ東部にできるというわけです。
その目的は、「『一帯一路』を推進し、ジブチに初の海外軍事基地を設けた中国に対抗する狙いもある」「安倍晋三首相が提唱し、一帯一路に対抗する意味合いも強い『自由で開かれたインド太平洋戦略』でジブチを西の門柱にできるか試金石となる」(同産経新聞)。米軍との従属的一体化をすすめている自衛隊が、アメリカの対中国戦略の一翼をになう軍事基地をジブチに置くというわけです。
しかも、「恒久化にジブチ政府の同意を得るために、自衛隊装備品の無償譲渡と整備支援に着手することに向け年内に調整に入る」(同)。ジブチ政府の許可を得るために自衛隊装備品つまり兵器を譲渡するというのです。これは政府の手による武器輸出にほかなりません。
「専守防衛」「極東条項」「武器輸出禁止」など死語だといわんばかりのやりたい放題。ついに自衛隊はアフリカに恒久的基地を持つ軍隊になろうとしています。
安倍首相は観閲式でさらに、ことし12月改定する「防衛計画の大綱」についてこう述べました。
「これまでの延長線上ではない、数十年先の未来の礎となる防衛力のあるべき姿を示す。…(宇宙、サイバー、電磁波などをあげ)新たな分野で競争優位を確立できなければ、この国を守り抜くことはできない」
かつてない大軍拡の宣言です。
観閲式の翌15日、安倍政権は臨時閣議で、消費税を2019年10月から10%に引き上げることを正式に確認しました。14日と15日のこの連係はけっして偶然ではないでしょう。
安倍政権は消費税増税の名目に「全世代型社会保障」など聞こえのいいことを言っていますが、本音は大軍拡の財源確保です。軍備に予算を回せば社会保障に穴が開くのは当然で、その穴を増税で埋めようとするにすぎません。
地元(秋田、萩)住民の反対を押し切って配備を強行しようとしているイージスアショア(地上配備型迎撃ミサイル)は「2基で6000臆円」(7月23日付産経新聞)。「ジブチ基地恒久化」が現実になればその費用も膨大です。これに安倍首相が宣言した「防衛計画の大綱」見直しによる、宇宙・サイバー・電磁波など「新たな分野」への資金投入。アメリカ製兵器の売り込みに懸命のトランプ大統領との同盟関係で、この先どれだけ軍事費が膨らむか分かりません。
日本の軍事費はすでに5兆円を超え、史上最大になっていますが、岩屋毅防衛相は就任早々、「従来より充実した防衛費をいただかなければいけない」(5日付中国新聞=共同)と公言しています。
繰り返しますが、消費税率の引き上げは大軍拡のためです。憲法違反の軍隊である自衛隊が、アメリカ製の兵器を大量購入し、米軍と一体となって海外で戦争をするための大増税です。
しかし、消費税と軍拡(自衛隊増強)のこの関係に警鐘を鳴らすメディアは(「しんぶん赤旗」も含め)皆無です。
沖縄を含め、日本全体を覆っている“自衛隊タブー”を打破しなければなりません。それは日本だけでなく東アジアの平和と民主主義にとって死活的に重要な問題です。