アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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連合・芳野会長の立憲・泉代表への注文、問題の核心は何か

2024年07月13日 | 日本の政治・社会・経済と民主主義
  連合・芳野友子会長と立憲民主党・泉健太代表の11日の会談。「立憲が共産党とともに支援した蓮舫氏が東京都知事選挙で敗れたのを踏まえ、芳野氏が次の衆院選を念頭に、共産党との選挙協力の見直しを求めた」(11日付朝日新聞デジタル、写真も)ものです。

 芳野氏は「立憲と国民民主と連合が3者で一つの固まりになることだ」とも述べました(同)。

 芳野氏が「共産が前面に出過ぎて逃げた票もあったのではないか」と述べたことがクローズアップされ、共産党の小池晃書記局長は記者会見で「何の根拠もない」と反発しました。しかし、問題の核心はそこではありません。

 たしかに芳野氏が泉氏に「野党共闘」問題で注文をつけたことは重大な問題です。なぜか。それが労働組合の原則を大きく逸脱した行為だからです。

 労働組合は憲法28条の「労働基本権」に基づいて、労働者の生活と権利を擁護するための組織です。その立場から一致する共通点で政治課題に取り組みます。その際の重要な原則が「政党からの独立」です。

「「政党からの独立」は労働組合の重要な原則です。それは、政党支持の自由と政治活動の自由をきちんと保障することです。特定の政党への支持や政党への募金を機関で決定して組合員個々に強制することは、組合員1人ひとりの政治活動の自由や政党支持の自由という基本的人権を侵害することになり、認められません」(山田孝男・労働者教育協会会長著『戦後日本 労働組合運動の歩み』学習の友社、2019年)

 連合が組織として立憲、国民の2つの政党支持を決めていることは組合員の政党支持・政治活動の自由のあからさまな侵害であり、労働組合原則からの完全な逸脱です。

 連合が労働組合の基盤である民主主義と相いれない組織であることは他の事例でも顕著です。

 たとえば今回の都知事選で小池百合子氏を支持したことです。小池氏は、関東大震災時の朝鮮人虐殺・追悼式典への「追悼文」取りやめ、朝鮮学校への補助金打ち切りなどに示されている通り民族差別主義者です。その小池氏を支持したことは、連合自体の反民主性の表れです。

 連合は行動指針(第5条)で「人種差別を許さない」と明記していますが、小池支持はその自らの行動指針にも反します。

 さらに、立憲と共産党の共闘に反発した出版妨害(2021年)も重大です。

 2021年10月の衆院選を前に、立憲と共産党の幹部らによる討論集『政権交代で日本をアップデートする』(大月書店)が出版される予定でした。ところがこれ知った連合幹部が激怒。圧力をかけて出版を延期させたのです(21年5月29日のブログ参照)。

 連合は労働組合の原則・基盤から逸脱した「反共・親自民」の政治的団体と化しています。それは日本の政党・政治を堕落させている元凶の1つです。

 労働者の生活と権利を守ることはもちろん、「政党支持の自由」はじめあらゆる人権と民主主義を擁護し発展させる労働組合を再建することは、この国の喫緊の課題です。

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