アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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国政の最大問題は軍事費の異常膨張

2021年12月09日 | 自衛隊・日米安保

     
 人々が「新型コロナウイルス」の不安に駆られ、メディアがコロナ報道に集中している中、重大問題が無風状態で通過しようとしています。軍事費の異常な膨張です。
 臨時国会で議論されるべき国政の最大問題は、「10万円給付」ではなく、まして「文書交通費問題」などではなく、軍事費膨張問題です。

 岸田政権が提出した補正予算案で、軍事費は7738億円にのぼっています。補正予算としては過去最大。その主な内容は、ミサイルなど新規主要兵器を前倒しで取得するもので、補正予算としてはきわめて異例・異常です。

「最も多いのは装備品の複数年にわたる「分割払い」を前倒しで支払う経費で、4287億円を占めた。今回の特徴は、新規主要装備品の取得費用だ。海上自衛隊の哨戒機「P1」3機(658億円)地上配備型迎撃ミサイル「PAC3」改良型(441憶円)、航空自衛隊の輸送機「C 2 」1機(243億円)など、(いずれも契約ベース)。いずれも22年度予算で取得を目指していたが、前倒しで計上した」(11月26日の朝日新聞デジタル)

 防衛省はすでに来年度予算の概算要求で5兆4000億円を計上しています。補正で「前倒し」したからといって概算要求を減額するわけはなく、軍事費は5兆4000億円に7738憶円が上乗せされることになります。

 この異常な軍事費膨張の根源は、岸田首相が所信表明で強調した「日米同盟の一層の強化」であり、米バイデン政権の圧力です。バイデン大統領は岸田氏承認直後から軍備拡張を要求しました。
「首相就任直後の電話会談で…バイデン氏は…防衛力見直しの着実な進展に期待を示した」(11月28日付共同配信)

 コロナ禍で暮らしや営業が大打撃をうけ、貧困が深刻化している中、平和に逆行する最大の無駄遣いである軍事費の膨張は絶対に座視できません。

しかし、国会ではこの問題がまともに議論・追及されることはありません。

 岸田首相の所信表明に対する代表質問(8日)で、立憲民主の新代表・泉健太氏は、約30分質問しましたが、軍事費問題にはひとことも触れませんでした。「敵地攻撃能力」問題にも触れませんでした。

 立憲民主はもともと「日米安保支持」が基本方針ですが、軍事費の異常な膨張に歯止めをかけることさえもしない、できないのです。これが「野党第1党」の実態です。

 自民党の茂木敏充幹事長が代表質問で、「日米同盟の強化」を何度も口にし、「防衛力の強化」「敵地攻撃能力保持」を強調したことときわめて対照的です。

 ところで、岸田首相の所信表明の全文を新聞で読んで、目を疑いました。岸田氏は演説をこう締めくくっていました。

「国の礎は「人」です。…医療、観光、農業、保育、被災地、自衛隊。…果敢に挑戦をし続ける。このことにより、日本は、大きく変わることができる」

 医療や保育などと並べて「自衛隊」=軍隊を「日本を大きく変える」「国の礎」として挙げたのです。敗戦後の国会演説で、自衛隊=軍隊をこのような文脈で称賛した首相がかつていたでしょうか。

 岸田氏の異常な「自衛隊」賛美と、日米軍事同盟の強化、軍事費の膨張は、決して無関係ではありません。

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