アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

コロナ禍で市民社会に浸透図る自衛隊

2020年11月07日 | 自衛隊・日米安保

    

 アメリカの恥部を露呈している大統領選。その勝敗を興味本位で眺める前に、「日本経済」にどう影響するかというメディアが煽る関心の前に、私たち日本人には、アメリカとの関係で考えねばならない重大な問題があるのではないでしょうか。

 「土のうや命綱 自衛官に学ぶ 尾道の〇〇中で講座」。先日の中国新聞(1日付)にこんな見出しの記事が地方版に載りました(写真中)。「自衛官による防災出前講座」です。この日(10月31日)は「陸上自衛隊第13施設隊と自衛隊広島地方協力本部の計15人が講師」。15人の迷彩服(戦闘服)を着た自衛官(軍人)が中学校で「講座」を行ったのです。

 「自衛官の出前講座」は広島市内の学校でも行われたと以前ローカルニュースで見ました。広島県内の各地で行われているようです。「校外学習」として児童・生徒の方から自衛隊基地へ出向くケースも少なくないようです。

 自衛隊の学校への進出、子どもたちとの接近は、もちろん、広島県だけの問題ではありません(写真左は水害に遭った学校を掃除する自衛隊)。

 住民の反対を押し切って自衛隊ミサイル基地の建設が進められている沖縄・宮古島では9月はじめ、市内の3つの小学校で修学旅行に陸上自衛隊基地を訪れる計画がありました(9月5日付沖縄タイムス)。「市内の旅行社と学校が協議して決めた」(同)ものですが、幸い「保護者らの苦情などから予定を変更し、旅程から外した」(同)といいます。

 自衛隊が浸透を図っているのは学校だけではありません。

 コロナ禍における島根原発の防災訓練が10月28日、島根県と鳥取県の合同で行われましたが、ここに自衛隊幹部が参加しました(10月29日付中国新聞)。

 10月にクラスターが発生した北海道では、県のコロナ対策会議に自衛隊幹部が参加しているもようが映像で流れました(写真右)。

 これらは最近新聞やテレビで目にしたものだけですから、氷山の一角にすぎないことは明らかです。自衛隊の学校・子どもたちへの接近、さらに自治体へのコミットが全国的に広がっていることは間違いないでしょう。

 こうした状況はもちろん「コロナ」以前からありましたが、コロナとの関係でとりわけ見逃せない問題があります。

 1つは、コロナ禍で非常事態宣言も発せられるなど社会不安が広がっている中、自衛隊がそれに乗じて存在を浸透させていることの意味です。社会不安と軍隊の結合です。

 もう1つは、コロナ禍は私たちにこれまでの政治・社会のあり方を抜本的に見直すことを求めており、その最大の課題は軍事費の削減・撤廃、軍事同盟・軍事ブロックの解消です。自衛隊の社会への浸透策動は、これに真っ向から逆行するものと言わねばなりません。

 自衛隊は憲法違反の軍隊です。いまでは年間軍事費が5兆円を超える世界有数の軍事組織に膨張しました。それが日米安保条約(日米軍事同盟)によるアメリカ追従の軍隊としての膨張であることは言うまでもありません。アメリカからの要求・圧力は、だれが米大統領になろうと、今後ますます強められることは明白です。

 コロナ禍での米大統領選を目の当たりにして、私たちがやらねばならないことは、日米安保・軍事同盟の解消であり、それに向かって政治・社会の舵を大きく切り直すことではないでしょうか。

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