アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

加速する軍民一体化・自衛隊の民間施設使用

2022年11月08日 | 自衛隊・日米安保
   

 10日からかつてない規模の自衛隊と米軍の共同統合演習「キーン・ソード23」が沖縄はじめ全国各地で行われます(写真右は昨年の日米共同演習)。これを契機に一気に加速しようとしているのが、自衛隊・米軍による民間施設使用による軍民一体化です。主な動きを見てみましょう。

戦闘車が公道走行…「キーン・ソード」で、陸上自衛隊の最新鋭「16式機動戦闘車」(写真左=琉球新報より)を与那国空港から陸自与那国駐屯地まで公道を走行させる訓練を計画(10月29日付琉球新報)。

民間の湾港・空港使用…「キーン・ソード」で、自衛隊が中城湾港や与那国空港を使用する計画。8日には防衛省がチャーターした民間船「はくおう」が中城湾港に接岸(7日付沖縄タイムス)(写真中は中城湾港に民間輸送船で輸送された陸自・2021年9月=琉球新報より)。

使用民間船3倍化…「有事」の際、南西諸島に自衛隊部隊・装備を輸送するため、最優先使用契約を結んでいる民間船舶を現在の2隻から6隻程度に3倍化する計画(10月28日付琉球新報)

自治体の「意識改革…政府の「有識者会議」(10月20日)で、自衛隊による港・空港使用に慎重な自治体に対し、「自治体の意識改革は、防衛力強化の重要な課題」と指摘。浜田靖一防衛相は会見で、自衛隊による民間インフラ利用を平時から広げていく必要があると主張(5日付琉球新報)。

公共インフラ会議体新設…政府は港湾や空港など公共インフラを巡る関係省庁の会議体を新たに創設する計画。防衛省や国土交通省がメンバー。自衛隊機が離発着可能な滑走路の整備など図る(6日付共同配信)

先端技術軍事転用促進の新機関…民間が持つ最先端技術の軍事転用を促進するため、2024年度にも防衛整備庁に新たな研究機関を創設する方針(5日付共同配信)。さらに、国家安全保障局(NSS)や総合科学技術・イノベーション会議、関係省庁が連携する新たな会議体を設置する方針(6日付共同配信)。

 こうした民間施設・インフラの使用拡大、軍民一体化は、軍事費膨張、敵基地攻撃、南西諸島ミサイル基地化など、自衛隊自体の増強と車の両輪です。

 とりわけ、これまで民間インフラの軍事利用に難色を示してきた自治体を巻き込もうとしていることは看過できません。

 その点でも最前線に置かれているのが沖縄です。沖縄県民には「民間空港や港湾の「軍事利用」に対する不安が根強い」(7日付沖縄タイムス)のですが、「県は「配慮」を求める一方、中止要請までは踏み込んでおらず、じわじわと自衛隊側の地ならしが進む」(同)事態になっています。

 国会でも自衛隊の違憲性を主張して増強に歯止めをかける政党がなくなり、ウクライナ情勢にも乗じた“自衛隊タブー”が深まっています。

 憲法の「戦争放棄」(第2章)に反する自衛隊が、同じく憲法の「地方自治」(第8章)を蹂躙して戦争態勢を強めようとしていることに対し、憲法の平和・民主原則を守る闘いがますます切迫した課題になっています。

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