アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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都知事選・蓮舫氏はなぜ2位にもなれなかったのか

2024年07月08日 | 都知事選
   

 7日投開票の都知事選。小池百合子氏の「3選」はきわめて残念ですが、予想されたことでした。しかし、立憲民主、共産、社民3党の全面支援を受けた蓮舫氏が、東京都にまったく地盤のない石丸伸二氏にも敗れ3位に終わったのは予想外でした。そしてここに今回の都知事選の最大の政治的意味があると考えます。

 蓮舫氏はなぜ石丸氏にも及ばなかったのでしょうか。

 朝日新聞の出口調査によると、①無党派層の投票先は石丸氏が36%で最多。蓮舫氏は16%とふるわなかった②年代別にみると、石丸氏は若年層ほど支持が厚く、20代以下では4割を超え30代でも小池氏を上回った。蓮舫氏は若年層に浸透できなかった(7日付朝日新聞デジタル)。

 無党派層と若年層で蓮舫氏は石丸氏に大きく遅れた。これが現象面の特徴です。ではなぜこの2つの層でそういう結果になったのでしょうか。

 無党派層と若年層に共通しているのは、既成政党への批判(失望)であり、新しい政治の渇望だと言えるでしょう。既成政党への不満・批判を強めている無党派層・若年層が石丸氏への投票によってその意思を示した。それが今回の都知事選の特徴ではないでしょうか。

 ではさらに、石丸氏に投票した人々は、既成政党の何を批判しているのでしょうか。

 それは与野党間で重要政策に違いがなくなっていること、換言すれば野党の政策的右傾化によって自民党と正面からたたかう政党がなくなっていること、したがって政治が変わる展望がまったく持てなくなっていることではないでしょうか。

 蓮舫氏の敗北について、「立憲関係者」は「挑戦者なのに独自の目玉政策がない」、「陣営幹部」は「(小池氏との)政策の差別化が難しかった」と語っています(7日付朝日新聞デジタル)。
 国政レベルで重要政策・法案で自民党に賛成している立憲民主の右傾化・翼賛化が今回の都知事選にも大きな影を落としたことは間違いないでしょう。

 7日夜のNHKの開票速報番組で、自民党の稲田朋美幹事長代理は石丸氏の健闘について、「既成政党批判の表れ。自民党も変わらなければならない」と述べました。妥当な分析です。この辺が自民党が政権党で居続けている狡猾さです。

 一方、日本共産党の小池晃書記局長は同番組で、「結果は残念だが、蓮舫氏が立ち上がったことは都民を励ました。引き続き都民本意の都政をめざす」と述べました。相変わらず自己反省のないコメントで、危機感の乏しさは絶望的です。

 小池晃氏は蓮舫氏を「最強最良の候補者」と絶賛しました。その時から敗北は予想されましたが(5月29日のブログ参照)、小池氏はじめ共産党指導部は今回の都知事選の経過・結果について猛省しなければなりません。

 共産党支持層の69%しか蓮舫氏に投票しなかった(朝日新聞の出口調査)ことは、党指導部に対する信頼の低下を示しているのではないでしょうか。

 最も「変わらなければならない」のは共産党です。


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