アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

高まる基地撤去の声、口つぐむ知事・オール沖縄・メディア

2024年07月09日 | 沖縄と基地
   

 沖縄の米兵による少女誘拐暴行事件に関し、林芳正官房長官が5日、「情報伝達の運用見直し」方針を示したのに対し、玉城デニー知事は「一歩前進」「大きなこと」などと評価しました(写真左)。エマニュエル駐日大使が「兵士の教育に重点的に取り組む」と述べたことについても、「非常に大きな一歩」と述べました(6日付琉球新報など)。

 林氏やエマニュエル氏の発言は、まったく実効性のないもので、世論の批判の鎮静化を図ったにすぎません。それを「大きな一歩」と評価する玉城氏の姿勢はいまさらながらきわめて問題です。

 そもそも米兵の性暴力事件の核心は「情報伝達のあり方」にあるのではありません。元凶は米軍基地の存在そのものであり、基地を撤去しなければ米兵による性暴力事件はなくなりません。

 しかし、玉城氏はこのかん「基地撤去」を一度も口にしていません。

 今月3日、玉城氏は問題発覚から8日目にようやく上川陽子外相に会い、「抗議文」を手渡しました。それは5項目ありますが、「基地撤去」に関するものは1つもありません(4日付沖縄タイムス「抗議の骨子」より)。

 玉城氏だけではありません。

 6日、辺野古新基地建設に反対する座り込み開始から7日で満10年になることから、「オール沖縄会議」主催の「県民大行動」が辺野古で開かれました。
 
 沖縄タイムス(7日付)は2面で、玉城氏の「メッセージ」のほか、稲嶺進・オール沖縄会議共同代表、糸数慶子・同、山城博治・現地闘争部長3氏の「あいさつ」要旨を掲載しました。その中には、もちろん辺野古新基地反対はありますが、嘉手納はじめ現存する米軍基地の撤去を求める言葉は1つもありませんでした。

 この「県民大行動」を報じた琉球新報、沖縄タイムスの報道にも疑問を禁じ得ません。

 7日付京都新聞は、共同通信の配信でこれを報じました。その記事にはゲート前でブラカードを掲げる市民の写真が添付されていました。プラカードには、「基地撤去」「全基地撤去」と大きく書かれています(写真中)。

 新報、タイムスは1面、2面、社会面を使って大々的に報じましたが、どこにもこのプラカードの写真はありません。きわめて不可解です。両紙がこのかん社説で「基地撤去」を主張することはありません。

 知事、「オール沖縄」幹部、メディアが口をつぐんでいるのとは対照的に、沖縄市民の中では「(全)基地撤去」を求める声が広がっています。

 「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」など県内6団体が6月27日に県庁で記者会見して発表した要求項目には「在沖米軍基地の撤去」が含まれていました(6月29日のブログ参照)。

 「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」が主催した4日の緊急抗議集会では、具志堅隆松共同代表(ガマフヤー)が、「子どもたちに平和な沖縄を残したい。今、明確に求めなければいけないのは軍事基地の撤去だ」(5日付琉球新報)と主張しました。

 新聞の投稿欄にも、「今こそ保守革新の枠を超えて基地撤去を叫ばなければ、悲劇は繰り返される」(南城市・金城芳雄氏、4日付沖縄タイムス「論壇」)という声が寄せられています。

 市民はプラカードで「全基地撤去!」(上記)や「米軍よ沖縄から去れ」(名護市で6月26日=写真右、沖縄タイムスより)と訴えています。

 まさに今こそ「基地撤去」「全基地撤去」の世論を沖縄と「本土」で広げていかなければなりません。それが兵士による性暴力事件を根絶する唯一の道であり、沖縄を新たな戦場にしない最良の方策です。



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