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日中外相会談が急きょ中止になった(4日)ことについて、日本の政府やメディアは一方的に中国を非難していますが、これは道理に合いません。
中国側が中止を宣言した直接の主な理由は、中国の軍事演習を批判した日本を含むG7の「外相声明」(日本時間4日)ですが、もとをただせば中国の強い反対を押し切ったペロシ米下院議長の訪台(2~3日)にあります。
言うまでもなく、アメリカも日本も、「1つの中国」を承認しています。台湾は中華人民共和国に含まれることを認めているのです。その中国政府がペロシ氏の訪台に強く反対し、バイデン米大統領にも直接要望しました。ペロシ氏はそれを承知であえて訪台し、バイデン氏はそれを容認しました。
どちらが挑発しているかは明白です。
さらに、ほとんど報じられていませんが、今回の日中外相会談中止をはじめ、険悪化する日中関係の陰に、日米安保条約の下で米軍との一体化を強める自衛隊の策動があることを見落とすことはできません。
ペロシ氏が訪台した3日、「南シナ海」で米軍とインドネシア軍の大規模な合同演習(「ガルーダ・シールド」)が行われました。これにはイギリス、カナダ、オーストラリアなどアメリカの友好国計14カ国、約4300人が参加しました。中国は6月、インドネシアに直接懸念を伝えていました。
中国が懸念するその過去最大規模の軍事演習に、陸上自衛隊が初めて参加したのです(4日の朝日新聞デジタル)。
インドネシアの防衛専門家コニ・バクリー氏は、「この訓練は南シナ海での有事に備えた訓練だ」とし、陸自の初参加についてこう指摘しています。
「日本は今、地域の安全保障を発展させるための友人としてインドネシアに注目している。経済分野だけでなく、軍事や防衛面の協力を拡大する方法を模索していると感じる」(同朝日新聞デジタル)(写真中は連携強化を誓う米軍と海自の司令官)
4日、自民党本部では中国の軍事演習に対する岸田政権の「申し入れ」は「表現が弱い」と批判の声が上がりました。批判の急先鋒は佐藤正久党外交部会長でした。佐藤氏の突き上げで岸田政権は、「申し入れ」の「懸念」を「重大な懸念」に変更しました(5日付沖縄タイムス=共同)。
佐藤正久参院議員は元自衛官(最終官職は陸上自衛隊幹部学校主任教官)。安倍晋三政権で防衛政務官、外務副大臣などを歴任。その言動は常に自衛隊の利益を代弁しています。
自衛隊の政権への影響力はこうした面でも強まっています。
今回の中国の軍事演習で、日本の最西端・沖縄与那国島の住民が不安を募らせているとNHKなどは繰り返し報じています。しかし、「与那国島の不安」をいうなら、ここに自衛隊基地がおかれていること、さらに「日本版海兵隊」といわれる陸自の「水陸機動団」が初めて創設された(2018年3月)ことを見落とすことはできません。強行したのは安倍政権です(写真右は与那国島の自衛隊基地)。
防衛省防衛研究所の門間理良・地域研究部長は、「もし、中国が日本と交戦するという政治的な決断を下すことがあったとすれば、与那国島に駐屯する陸上自衛隊の監視部隊をはじめ、南西諸島に展開する自衛隊は攻撃対象になります」と認めています(7日の朝日新聞デジタル)。
日中関係を険悪化させているのは、日米安保条約=軍事同盟でアメリカに追随している自民党政権であり、その陰には軍事力が強化されている自衛隊の策動があります。その軍隊の危険性をメディアはほとんど報じません。
外交の意思も能力もない内閣、跋扈する軍隊、体制順応を深めるメディア。日本はすでに危険な戦時国家体制に入っていると言わねばなりません。