アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

「戦争報道」と一体化して暴走する自衛隊

2022年06月18日 | 自衛隊・日米安保

   

 ウクライナ戦争とその報道と一体化した自衛隊(日本軍)の暴走が目立っています。今月に入ってからの主な動きを挙げただけでも次の通りです。

5日 海上自衛隊の護衛艦「あしがら」などが参加する「日米共同弾道ミサイル対処訓練」を日本周辺の海域で実施。

6日 海上自衛隊とNATO(北大西洋条約機構)の艦艇が地中海で共同訓練を実施。

11日 岸防衛相が米韓国の防衛相とシンガポールで会談し、日米韓共同訓練の再開(5年ぶり)を合意(写真左)。

11日 岸防衛相が米豪の防衛相とシンガポールで会談し、インド太平洋地域で自衛隊が米軍・豪州軍と一緒に活動する際、自衛隊が米豪の艦船などを守る「武器等防護」を行うことで合意。

16日 太平洋と接する地域を中心とした16カ国の軍の指揮官が、自衛隊の基地や駐屯地を訪れ、「離島防衛」で重視される「水陸両用作戦」(写真中)に関する訓練や装備品を視察。日米が初めて共催した国際会議の一環。

 在沖米軍トップのジェームズ・ビアマン沖縄地域調整官は、共同通信のインタビューで、「自衛隊と緊密に連携している」「自衛隊も進化の時期を迎えている。互いに学び合うため、数多くの機会がある」(16日付琉球新報)とのべ、自衛隊との一体化を誇示するとともに、そのさらなる「進化」を要求しています。

 16日の各国指揮官視察(写真右)では、陸自トップの吉田圭秀陸上幕僚長が記者会見で「多国間協力を進め、望ましい安全保障環境を醸成する」とし、ラダー米太平洋海兵隊司令官は、「抑止がうまくいかなければ戦って守る」(16日の朝日新聞デジタル)と公言。「戦って」とは戦争をして、ということです。

 一方、自民党の国防議員連盟(会長=衛藤征士郎・元防衛庁長官)は16日、国内の兵器産業テコ入れ策を盛り込んだ「提言」を岸田首相に提出。「研究開発費」を今年度の約3千億円から来年度以降「少なくとも5千億円以上、5年以内に1兆円程度」に増やすことなどを要求しました。
 「提言」の正式名称は「産官学自一体となった防衛生産力・技術力の抜本的強化について」です。

 政府が大学などを取り込んで大企業のための施策を進めることをこれまでは「産官学」共同と言ってきましたが、自民党防衛族の「提言」は、これに自衛隊を加えて「産官学自」という新たな枠組み・概念を提唱したものです。

 こうした一連の動きは、自衛隊が日米軍事同盟の枠を超え、アメリカを介してNATOや太平洋諸国との軍事一体化を強めていること(集団的自衛権を禁じる憲法のあからさまな蹂躙)、さらにすでに戦争を想定した臨戦態勢になっているという、きわめて危険な状況を示しています。

 この自衛隊の加速度的暴走が、ゼレンスキー大統領の連日の映像や米欧諸国からの武器供与を督促する「戦争報道」によって、ナショナリズムが鼓舞され、戦争への感覚がマヒされる戦時体制づくりと一体で進行しているところに、重大な特徴があります。

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