角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

一番の恩返し。

2006年12月11日 | 製作日記
今日の草履は、一般綿生地シリーズMサイズ23cm〔3000円〕
柄物の三色使いです。緒に使った生地は、「迷彩服」にも見えますね。面白い草履と思います。

今日も寒いです。天気は良いのですが、気温はとうとう上がりませんでした。それでも降雪がないだけマシですね。明日は気温が上がる反面、雨かみぞれの予報です。こういう天気もまたイヤなんですよね。

昨年の今ごろは、お歳暮商戦で走り回っていました。ギフト業ではひとつの「かきいれ」です。主に事業所をお得意先としてましたから、単価は別として数量は結構のものでした。朝から包装・のし掛け、そして配達、大雪が降ると運送トラックが遅れたり、注文したものと違う品物が届いたり、それはそれは忙しない師走でした。

今年からお中元・お歳暮を一切廃止しましたから、実に様変わりの師走になっています。用事があれば外出もしますが、一日のほとんどが自宅の作業場です。天気が良いも悪いも、昨年までと比べたらなにほどのこともありません。
まぁ、収入面での有利不利は別として、この師走の生活が嫌いではないですね。

来年からは、観光土産品の卸売もほぼ廃止とします。なまはげキティなどのご当地限定品の卸売も、すでに問屋さんと小売店さんの橋渡しが完了しました。たった10年でしたが、本当にお世話になった方々が多いです。

一ヶ月ほど前でしたか、西宮家に訪れた奥様は、秋田市で老舗の陶器店を経営されている方でした。こちらのお店がはじめて樺細工を取り扱うときの担当が私で、その後10年ほどお取引がありました。私が独立してからはほとんどお会いしてませんから、ほぼ10年ぶりの再会です。
『いやぁ~、ご無沙汰してらったんシ~』からはじまり、10分ほどおしゃべりしました。お帰りの際は、『とってもイイ仕事だと思うワ~、今度は商売じゃなくお茶飲みに寄って!』と言っていただきました。

商売は変わっても、過去の人と人とのつながりは決して消えないと思いますね。そして、また新たな道で活躍することが、これまでお世話になった方々への一番の恩返しでしょう。
そんなことを考える、はじめての師走です。

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知的所有権。

2006年12月10日 | 製作日記
今日の草履は、一般綿生地シリーズMサイズ23cm〔3000円〕
深緑基調に縞模様をベースに、緒は青のプリント柄を合わせてみました。なんか、こんな柄の野生動物がいませんでしたかね。面白い草履になったと思います。

今日は寒い一日です。朝から雪が舞い落ちて、日中は日も差したんですが、気温は上がりませんでした。それでも昨冬の今ごろは毎日除雪に追われてましたから、まあまあの12月と思います。

一年ほど前から、手作り品を生業としている方、あるいは独自の商標をお持ちの方から言われていたのが、『知的所有権は取っておいだほうがエエよ』のアドバイスでした。公開実演でもお客様から結構言われていたのが、『特許取ってるの?』です。
世の中にこの手の申請はいろいろな種類があって、ほかの誰にも作らせないという強い制約を必要とするなら、特許庁に申請するいわゆる「特許」です。
私の草履の場合は、追随しそうな人あるいは業者がそうそう出てくるとは思えないので、強い制約はなくとも気軽に申請できる、文化庁管轄のいわゆる「知的所有権」に属すると思います。

公開実演も終了し、またオーダー草履の発送もほぼ終えましたから、いよいよこの申請に取り掛かることにしました。
角館のお隣り旧中仙町に、この手の申請の専門家がいらっしゃいます。昨日ご連絡を差し上げたところ、今日早速お出でくださいました。「知的所有権」であれば費用も比較的安価で、2週間もあれば取得できるとのこと、思っていたよりずっと簡単で驚きました。

私がこの権利を取得する意図は、ほかの誰にも売らせないなどということにはありません。つまり、この権利を盾に誰かと争うなんてことは、ひとつも考えてないんですね。そこに意図があるとすれば、草履台や材料の販売に矛盾します。草履台をお買い上げの方に、『売物になるまで頑張りましょうヨ』と言っていた言葉も、嘘や冗談ではありませんでした。
取得の意図をしいて挙げるとすれば、イ草を利用した「布巻草履」の元祖は角館にあるという証しでしょうか。

今日、旧千畑町で草履作りに取り組んでらっしゃる女性が、材料の購入にわが家を訪れました。こちらの女性にこの「知的所有権」の話をすると、『そうですよねぇ、やっぱりそういうのはハッキリしといたほうがイイですヨ。あとは編み方ビデオがあれば完璧じゃないですかっ!』。

そうなんです、「知的所有権」の取得は案外簡単そうですが、この「編み方ビデオ」がなかなか進まないんですよぉ。

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神の魚。

2006年12月08日 | 地域の話
今日の草履は、一般綿生地シリーズMサイズ23cm〔3000円〕
ブルー地に淡い紅色が混じった綿生地をベースに、緒はエンジです。淡くぼかした感じの生地は、草履になってもそのまま表現されますね。綺麗と思います。
このベース生地はいただきもので僅かな量でしたから、幻の一足になります。

今日の角館は、思いのほか好天に恵まれました。気温も上がり、一時10センチほど積もった雪もなくなりましたが、週末にまた荒れるようです。今度は雪ではなく、雷雨の予報でした。

冬の雷と共にやってくるのが、私の大好物、神の魚「鰰(ハタハタ)」です。世の中にある食べ物で、五指に入る好物がこのハタハタなんです。
子どもの頃は、この時期になると毎日ハタハタでした。味が淡白でいろいろな調理法がありますし、なにより安かったことから庶民には重宝だったんでしょう。自転車にハタハタを積んで売りに来るおじさんが、『ハタハタはタダでエエ、木箱のじぇんこ200円けでけれ』と言ってたのを憶えています。一箱3キロほどのハタハタが200円ですから、時代が違うとは言え、こんな安い食料はなかなかなかったと思いますね。

それが乱獲の影響で資源が激減し、庶民の魚が高嶺の花となりました。そのため数年間の禁漁を経て、解禁されたのは割と最近の話です。この2~3年は資源が回復したようで、また昔のように食卓に上がるようになりました。私としては、こんな喜ばしいことはありません。

昨晩の「西宮家日本酒を楽しむ会」、普段口に出来ない酒が並び、中でも「限定品」は旨かったですねぇ。
肴のほうは、現在のシェフがフレンチの料理人ですから、やはりそうしたメニューが並びました。ほとんどカタカナで、読んだだけではどんな料理なのか検討がつかないくらいです。運ばれてくる料理を見ると、『あっ、箸じゃ食えないな』というのは分かりました。
そんな中で目を惹いたのは、「フォアグラ」と「キャビア」です。キャビアは過去に食べたことがありますが、フォアグラははじめてかも知れません。少量のせいもあって、美味いのかどうかも分からないうちに喉をすり抜けていきました。私には、やっぱりハタハタが一番のご馳走のようです。

明晩は、12月飲み会第三弾、丁内のおじさんたちの忘年会です。会場は唐揚げなどの「油もの」を得意とするお店ですから、なんとしても「ハタハタの唐揚げ」を食べて返って来るつもりです。

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新しき友人。

2006年12月06日 | 地域の話
今日の草履は、一般綿生地シリーズMサイズ23cm〔3000円〕
ブルー地に日本画がプリントされた綿生地をベースに、緒は同系の紺にしてみました。巻かれてしまうとプリント画は分からなくなりますが、雰囲気は残りますね。お洒落な色と思います。

今日の角館は、久しぶりに青空が広がりました。気温もそこそこ上がってくれて、道路の雪はすべてなくなりました。ただ朝晩は氷点下になりますから、あちこち凍結しています。今日は3ヶ所で衝突した車を見ました。

昨晩の「本音の会」、なかなか楽しい会になりました。保護者側の出席人数は予想通り(?)少なかったのですが、2年部担当の教職員は講師を除き全員出席でした。この会への思い入れを察します。

「本音の会」とは言っても、結果としてフツーの親睦会ですね。もちろんこれに意義があるんですから、私としては大満足です。双子それぞれの担任の先生とも話しが出来ましたし、久しぶりの保護者の顔もありました。小学校PTA時代はよく飲んでましたから、ちょっとだけ当時を懐かしんだ感じです。

新しい保護者とも知り合えました。二女の同級生のお父さんIさんは、山形県鶴岡市のご出身で転勤族です。首都圏や東北各県を渡り歩きながら、奥様のご実家、ここ角館が気に入って永住することにしたんだそうです。そのご実家の場所というのが、角館市街から10キロほど離れた山間地、お世辞にも便の良い立地条件とは言えません。Iさんは言います。
『いろんなところに行きましたけど、この山奥がイイんですヨ。娘は田舎を好きとまでは言いませんけど、やがてこの地の暖かさを知るときが来ますヨ』。

教育感にも私と重なるものを感じました。『高校なんかどこだってイイんです、人間は必ず活かされる場所があるんですから。ただ、今は目標に向かって邁進して欲しいですね、その努力が重要ですヨ』。

今度Iさんのお宅へ遊びに行く話になりました。『囲炉裏を囲んで呑みましょうヨ!』とIさん。
「本音の会」への出席をためらうことなく決めたのは、もしかしたらこの出逢いを予感したのかも知れません。

さて明晩は、12月飲み会第二弾、「西宮家日本酒を楽しむ会」です。イイお酒がズラっと並ぶこの会は、酒の肴もなかなかです。
明晩も、また新たな「人」「酒」「肴」にめぐり合いたいものですナっ!

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「無礼講」ってないんですよねぇ。

2006年12月04日 | 地域の話
今日の草履は、一般綿生地シリーズMサイズ23cm〔3000円〕
茶色基調のプリント柄をベースに、緒はエンジです。ベース生地がちょっと地味目ですし、緒は中高年のおばさまが好むエンジですから、やはりそうしたご年齢に向きそうです。

いよいよ冬がやって来ました。天気予報通り、昨日から雪が降り続いています。お昼近くから日も差してくれましたが、景色はすっかり雪化粧になっちゃいました。喜んでいるのはスキー場と子どもたち、あとワンちゃんでしょうか。今週の中頃から雨に変わるようですから、この雪も一旦は消えるでしょう。
昨冬はこの読みが大外れでした。ちょうど今ごろ降った雪が、そのまま根雪になったのを思い出します。どうか今年はご勘弁を。

オーダー草履の発送がほぼ終了しました。あとは12月中旬着をご希望された「クリスマス草履」だけです。シーズン中の分厚いご注文書を思い出すと、ホッとしたような寂しいような‥。夏バテに苦しんだ時期を、降り続く雪を見ながら思い出すのと同じですね。

12月と言うと「忘年会」のシーズンです。よく会社の忘年会で、『今日は無礼講だー!』なんていう社長や上司の言葉がありますけど、あれってほとんどウソですね。軽率な言動はすべて覚えられて、その後の扱いに大きく響くのが常でしょう。
若かりし頃、私もその手の失敗をいくつか記憶しています。

12月の飲み会では、これまで三つに出席を届けました。最初が明晩、中学校の二年部PTAが企画してくれた、「本音の会」なる飲み会です。
中学では職員と保護者が酒を呑む機会なんて、ほとんどないのが現状です。PTA学年部長をはじめとする役員会が、そうした“常識”を覆す努力をしてくれたのでしょうから、これには私も賛同したいと思いました。

さて「本音の会」、本物の「無礼講」なのか、はたまたやっぱり覚えられちゃうのか、まずは楽しみにしたいと思います。

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夢の甲子園。

2006年12月01日 | 地域の話
今日の草履は、さんさん企画サンのお知り合いからのオーダー草履です。
さて、この配色は一体なんでしょ?正解は「ドイツ国旗」、ご主人がドイツ人で、奥様が日本人でさんさんサンとご友人とのことでした。喜んでくれれば嬉しいですね。

「ドイツ」と言えば、今年のワールドカップを思い出します。結果は少しばかり残念でしたが、スポーツ音痴の私でさえサッカーは面白いと思ったもんです。そう言えば、こんな草履も作りましたね。

スポーツの話題をもう一つ、わが母校大曲工業高校野球部が、来春の甲子園大会の「21世紀枠」の推薦を受けた模様です。全国で9校が推薦を受け、実際出場できるのは2校ですから、まだまだ狭き門ではあります。でも、全国9校の中に入っただけでも素晴らしいと思いますね。

出場が決まっても甲子園までは行けませんが、せめて25年前を思い出して、学生服に鉢巻で草履実演しましょうか!

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