角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

今思う、「初心忘るべからず」。

2006年12月30日 | 製作日記
今日の草履は、「お正月草履」です。赤基調にカラフルな折鶴プリントをベースに、金の御殿鞠と桜花プリントを合わせた配色Ⅱパターンです。「賀春」と「門松」のシールはシャレですが、新年を迎えるに相応しい実に華やかな草履が出来ました。
この綿生地は、さんさん企画サンから『これで正月バージョン作ればイイねっ!』と手渡されたものです。さんさんサンには歳の最後までお世話になりましたね。

昨日から冬らしい天気になっています。それでも脅されたほどの降雪はなく、気温もひどい寒波とは言えません。元旦から数日は落ち着いた天気のようですから、久しぶりに雪よせが要らない正月を過ごせそうです。

今日、二女の外泊許可が出されました。明日の大晦日から新年2日のお昼くらいまで、家族と共に過ごせます。一番喜んでいるのは、もちろん二女本人です。
毎年の大晦日と元旦はカミさんの生家で過ごしています。そんなわけで、今日が2006年最後のブログとなりました。

この一年を振り返って、ほんとに人生の転機を感じます。ほぼ一年を通した草履実演ははじめてのことでした。今年の実演日数は221日、昨年は109日ですから倍増です。一日平均20人との出逢いがあったとして、一年で4000人をゆうに超える勘定になります。すべてのお顔を思い出すことは不可能ですが、心に残る出逢いがたくさんありました。

それとホームページ立ち上げですね。これで全国の方々と交信できるようになりました。
『ホームページ見て寄ってみました~』のお言葉は実に嬉しく、また不思議な感じがしたものです。

新たに草履作りを趣味にお加えになった方もいっぱいです。私の草履実演が、ホンの僅かながらその方々の生活に笑顔を増やしたかと思うと、また格別な喜びがあります。

私には忘れられない言葉があります。実演をはじめて間もない頃、もう二年以上も前のことです。当時はまだ研究課題がたくさんあって、実演でお客様から指摘される点も大いに役立っていた頃でした。
そんなとき、仙台市からお越しの奥様が私の草履に高い関心を寄せてくださり、ずいぶん長い時間おしゃべりしました。その奥様から言われた言葉です。
『この草履もいつか有名になっちゃうんだろうな。私ってそういうの多いのよ、面白いものを見つけるのは早いんだけど、何年かするとみんな知ってるの』。
笑みをこぼしながらも、どこか寂しげにこう言われました。

もちろん私の草履は、そうした著名なものではありません。間違いなく発展途上ですし、大量生産とは無縁です。それでも多くの方々から激励をいただき、またご注文も賜りました。確かに二年前の草履と今年の草履では、品質も生産数も比較になりません。少しずつ、少しずつですが愛好者は増えています。

そういう時期に差しかかった今だからこそ、二年前の奥様の言葉を噛み締めたいと思っています。激励もご意見も、お客様からの言葉はすべて糧とし、これからずーっと続く草履作りに励んで行きたいと思います。

2006年に出逢ったすべての皆様、この一年本当にありがとうございました。来春のシーズン開幕には、少しだけ進化した「布巻草履」をご覧いただけるように頑張ります!

コメント (5)
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