角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

人生最期もいろいろ。

2010年02月12日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔四阡円〕
クリーム色基調の小花プリントをベースに、合わせは赤基調の和柄プリントです。
和柄と洋柄を組み合わせたこちら、赤がとても可愛く映えますね。足がちょっと小さめの、可愛いお母さんにお勧めでしょうか。

昨晩若干の降雪がありましたが、明けて今日はまずまずのお天気に恵まれました。小正月行事や蔵巡りが行われている今の角館は、いつもよりお客様も多目です。『思ったより暖かいですねっ』と言われると、ついつい一週間前の大寒波を教えたくなりますね。ここ数日のお客様は、かなり強運と思います。

愛知県からツアーでお越しのご一行様。ひとりのおばさまが、『なんかどこへ旅行しても、孫のものばっかり買ってしまうのよねぇ』とおっしゃりながら、17cm草履をお買い上げくださいました。
「孫が可愛い」はこのブログでもお馴染みですね。今日はほかにもお孫さんへのプレゼントというおじさまがいました。

先のおばさまのおともだちは、『あたしは孫とお嫁さんの分を買って行くわっ』。私が『おかあさんは偉いですね。だいたいは自分のだけ買って行くんですよっ』と笑うと、さきほどのおばさまも『あらっ、じゃああたしもお嫁さんへ買ってあげよっ』。
私が、『みなさんはほんとに偉いんですねっ』と言うと、『いつかはお嫁さんの世話になるときが来るでしょ。そのときに蹴っ飛ばされたりしないようによっ』と大笑いでした。

介護が必要となった姑さんを蹴っ飛ばすというのはいかにも冗談ですが、私の縁戚に数十年の長きに渡り、3人の家族を介護したという人がいます。私なんぞには到底計り知れない苦労だったと思いますね。
そこまででないにしても、親族や知人で自宅介護の経験を持つ人はたくさん知っています。昨春他界したじっちゃとばっちゃも、数年間の介護を受け亡くなりました。

一昨日、同期生のお母上が突然の他界という報を受けました。友人とふたり早速顔出しに伺うと、心筋梗塞による突然死で、まだ母親の死を実感できないと言います。
私が18歳のとき他界した実父も、私が東京から実家に戻ると亡くなっていましたから、そういう気持ちはよく分かるんですね。

家族として最期のいっときを共に過ごしたい、手をかけ言葉をかけて見送りたい。そういう希望はだれにでもあると思います。その「いっとき」というのはどの程度の期間なのか。5年、10年と介護を続ける人もいれば、同期生のお母上のようにあっと言う間にいなくなってしまう人もいるわけです。
人生がいろいろであるように、人の最期と遺された家族もまたいろいろということでしょう。

同期生のお母上は、角館草履のお客様でもありました。心よりご冥福をお祈りしたいと思います。

コメント
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