角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

後悔のない買い物。

2010年02月04日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ26cm土踏まず付き〔四阡五百円〕
白黒基調の和柄プリントをベースに、合わせは紺の絣風プリントです。
今日の草履も昨日と同じように、「和」がとてもイイですね。男性用サイズでも赤が混じるとお洒落に見えます。着物姿が凛々しいお父さんにお勧めでしょうか。

大仙市大曲からお越しのおばさまお二方。うちのおひとりはこれまで何度か草履コーナー前を通過したそうですが、詳しく実演をご覧いただくのは今日がはじめてとおっしゃいます。どうして今日はその気になったのか、お連れのおばさまが角館草履にとても関心を示したからなんですね。
その理由は、退職される先輩への贈り物を探していたからでした。

『こういう贈り物もイイんじゃない!?』という趣旨ではじまったおしゃべりだったのですが、角館草履の健康効果をご説明するうち、だんだん「自分用」として考えが変わり始めました。
というのは、おばさまは数年前に交通事故の被害者になり、それからというもの明らかに体質が変わったと言います。まず冬でも靴下要らずだったのが、今では厚い靴下を履かなければいられなくなったこと。そして足のむくみなんですね。試し履きの際足を見せてもらいましたが、確かに色は白くむくんでいるのが分かりました。

草履職人に医学的発言は叶いませんが、血行不良による足のむくみには適度な刺激が良いとされます。実際そんな症状の方で角館草履のご愛用者は少なくありません。おばさまも試し履きすると、『あぁ~、これ良さそうっ!』。
結局プレゼント用は差し置かれ、今日はご自分用としてお買い上げくださいました。

当初角館草履の健康効果は実感したものの、衝動買いには持ち合わせが心細かったんですね。しばし考えたのち、『明日どうなるか分からないから、やっぱり買って行くわっ』。
以前の交通事故がひとつのトラウマになっているのでしょうか。「明日どうなるか分からない…」の言葉は、確かにそうだよなぁと思いますね。

以前ビートたけしさんの司会でしたか、「死ぬときに後悔すること25」という本に沿ったテレビ番組がありました。緩和医療医の大津秀一さんという人が著者なんですが、この本はテレビで放送する以前からわが家にあります。昨年6月、体が不自由な叔父を独り残して他界した叔母の終末期に立会い、これがきっかけで購入したものでした。

あとがきに、『後悔のない死などはありえない。けれども“後悔がないように”と普段から考え、一生懸命励んだらどうだろうか』という一節があります。草履ひとつの買い物にここまで大げさに考える必要もないのですが、「後悔がないよう心掛ける」という生き方は、きっと終末期になって自身の心に現れるものだと思いますね。

コメント
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