ちいさな幸せ

幸せの基準ってある?
それは自分の心の中にあると思う。
私は何時も陽だまりのような幸せの中に居た。

遍路 (69回)

2009年11月21日 | 思い出話
               平成15年5月10日


     距離20K  BH美空 ~ 延命寺 ~ ろんどん荘   (2)

      


何時頃建てられたものでしょうか、上のような石碑がありました。

暫く行くと「遍路別れ」の印、文字だけで方向を示すものは何も無いのです。
まっすぐに行くべきか、北に上るべきかと思案していますと、通りかかった自
動車から「北へ」と指差し教えていただきました。教えられた通りに北に進み
ましたが、今夜の宿は道に面しているはずなんです。そんな気配は全くなく、
大きな工場の前に出てしまいました。通りかかったおばあさんに「ろんどん荘
ご存知ですか?」と訊ねますと、親切に教えてくださいました。さっきの道を北
ではなくまっすぐ行っていると、迷う事なく「ろんどん荘」に着いたらしいのす。
さっきの自動車の方は私達が「三角寺」に行くものと思い、教えてくださった
道だったのです。

宿についてみると、宿の人は留守で、女遍路の人が待っていました。飛び込
みで来られた様子でした。さっきから待っておられるという事です。「早く着か
れましたね。どちらからですか?」と聞きますと「今日は雨なので、電車で来ま
した」と言うお答えでした。明日の話しが出て「岡田や」に泊まりたいと言われ
ました。まだ電話もしていないというので、私達は予約している事、中々取れ
ないという話しなので、直ぐ電話を掛けて見る様に勧めました。

電話をされましたが、やはり満員と言う事で断られました。この女性は5時立
ちしていかれました。バス・電車を乗り継ぎ、歩くという遍路らしいので、此処
からもそのようにされるのでしょうが、距離にして30K無いとは言え、山2つ
越えなければならないので、バスや電車があるのだろうかと気に掛かりました。




「ろんどん荘」はお料理が美味しいと聞いていましたが、日曜日は無いといわ
れました。しかし隣の「お惣菜やさん」がこれまた安くて美味しく、品数も多い
という情報(遍路先輩のうえきさんより)を持っていましたから「いいわ」と思っ
ていましたが…、現実には「クックチャム」と言うそのお惣菜やさんもお休み
と言う羽目になりました。

仕方が無いので、駅のそばの商店街まで下りていきました。そこで一番初め
に目に付いた「焼き鳥屋」さんに飛び込みました。履物を脱いで上るのです
が、席は座るのではなく、掘りごたつのように、足を下げられるようになって
いました。

皆さんが食べておられるのを見ても、又、注文を聞いていても「手羽先のフラ
イ」が多いようでした。日曜日で子どもずれが多かったです。此処の名物なの
かもしれませんが、私達は普通の串焼きとサラダを注文しました。

串を見てビックリ、大きい! 何時も私達が食べる串の3倍は大きい肉片が
刺さっているのです。「釜めしは一つ頼んでよかった」と咄嗟に思いました。
サラダも一つ頼んだのですが、大鉢にてんこ盛りです。量の多さに驚きはし
ましたが、お味のほうはグーでした。お勘定もお安く嬉しかったです。

遍路中にこうして外でご飯を食べるのは初めての経験です。たまには地元の
皆さんの食べっぷりを見て、地方の食文化(一寸大げさ?)も解ってよかっ
たかもね。




朝食は付いていました。朝食を見ただけで、女将さんがお料理上手なのが解
りました。「夕食も食べたかった!」と残念の思いがいっぱいでした。

食事の間中女将さんは隣に腰掛けて話しておられました。遍路宿と言うより、
長期出張者が多く、その人たちが土日は家に帰っていて、今夜から又忙しく
なると言われました。

「建てもんは新しいですね」といいますと「10年以上前に建て替えたのです
よ。私はもっと大きくして、子どもに継いで貰いたいという気持ちがありまし
た。でもね、暫く手伝っていた娘夫婦が嫌だといって出て行ったんです。も
う5年になりますけど、この頃帰りたいようなんです。でも「帰っていらない」
と言っています。出て行かれた時の親の悲しさなんて知らないで…。何もす
る気が無くなりましたよ。改装して大きくしたい気持ちも失せました。始は勿
論土日も食事を作っていましたよ。でもね出張の人は土日は家に帰って居
ませんし、それで食事を休む事にしたんですよ」

娘2人に継いでもらえなかった悔しさを滲ませて話されました。「婿が外で働
きたいと言ってね…」って。

でもね、いつかは、帰ってくる娘夫婦を許されると思うんですよ。なんたって
親子ですからね。裏切られた悔しさは痛いほど解りますよ、でも許せる気持
ちに一日でも早くなっていただきたいと心から思いました。

            旅館 ろんどん荘   (3泊目)
                                      (1240回)


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