先日、朝食を食べながら、リリー・クラウスの弾くモーツァルトのピアノ曲集を聴いていたら、昔よく聴いた懐かしい曲が流れてきた。
「幻想曲ハ短調K.396(Fantasia in C Minor, K.396)」(1782年作曲)である。
この曲は元々モーツァルトがピアノとヴァイオリンのためのソナタとして書き始めたのであるが、未完に終わり、モーツァルトの死後、マクシミリアン・シュタードラーという人が補筆し、ヴァイオリン部を省いてピアノ幻想曲として出版されたのだそうだ。
モーツァルトの曲には未完となった曲がいくつかあるようだが、この幻想曲ハ短調K.396は他人が補筆したとはいえ、なかなか聴き応えがある曲で私の好きな曲の一つである。
この曲を好きになったきっかけは以前にも記事にしたが、旧ソ連時代のピアニスト、マリヤ・グリンベルクの演奏を聴いてからだ。
初めて聴いた時は大きな衝撃を受けたが、しばらく期間を経て改めて聴き直してみてもその感動は変わらない。
彼女の演奏で初めてこの曲を聴いてから、他の演奏家の演奏もいくつか聴いてみた。
ヴァレリー・アファナシエフ、リリー・クラウス、エドヴィン・フィッシャーなどの演奏だ。
今回新たにワルター・ギーゼキング、ルドルフ・フィルクスニー(Rudolf Firkušný)を加えて聴き比べをしてみた。
しかしやはり圧倒的にマリヤ・グリンベルクの演奏の方が素晴らしい。
音に精神的な力がみなぎっているし、短調から長調へ転じた後の上昇和音の連続部と、その直後のトリルが現れる部分などは聴いていて自然に躍動感を覚える。
短調での沈んだやや悲痛な気持ちから、晴れ渡るような明るい気持ちに転ずる、その対称的な表現が聴きものである。
ギーゼキングも音に力があるが、この人の音は時に必要以上に強すぎるように思うことがある。また難しいパッセージの部分も速くしすぎる傾向もある。
ギーゼキングの弾く、ベートーヴェンのピアノソナタ第31番の演奏などはまさにその典型だ。
しかしこのモーツァルトの幻想曲は全体的には抑制されたいい演奏だ。
ルドルフ・フィルクスニー(Rudolf Firkušný,1912~1994)は、今回初めて聴くチェコ出身のピアニストであるが、ヤナーチェクなど自国の作曲家の録音が多いようだ。
今回の幻想曲の録音はライブ演奏であるが、破綻が殆ど無く、技巧的にも優れている。
ウィキペディアで調べてみると、その演奏の特徴は、「彼の演奏はその人柄を反映してか、けれん味がなく穏やかで自然な演奏」と評されている。
この幻想曲の演奏は、それに加えて情熱的な表現も垣間見せている。
表現の幅はギーゼキングよりも広く感じられた。
「幻想曲ハ短調K.396(Fantasia in C Minor, K.396)」(1782年作曲)である。
この曲は元々モーツァルトがピアノとヴァイオリンのためのソナタとして書き始めたのであるが、未完に終わり、モーツァルトの死後、マクシミリアン・シュタードラーという人が補筆し、ヴァイオリン部を省いてピアノ幻想曲として出版されたのだそうだ。
モーツァルトの曲には未完となった曲がいくつかあるようだが、この幻想曲ハ短調K.396は他人が補筆したとはいえ、なかなか聴き応えがある曲で私の好きな曲の一つである。
この曲を好きになったきっかけは以前にも記事にしたが、旧ソ連時代のピアニスト、マリヤ・グリンベルクの演奏を聴いてからだ。
初めて聴いた時は大きな衝撃を受けたが、しばらく期間を経て改めて聴き直してみてもその感動は変わらない。
彼女の演奏で初めてこの曲を聴いてから、他の演奏家の演奏もいくつか聴いてみた。
ヴァレリー・アファナシエフ、リリー・クラウス、エドヴィン・フィッシャーなどの演奏だ。
今回新たにワルター・ギーゼキング、ルドルフ・フィルクスニー(Rudolf Firkušný)を加えて聴き比べをしてみた。
しかしやはり圧倒的にマリヤ・グリンベルクの演奏の方が素晴らしい。
音に精神的な力がみなぎっているし、短調から長調へ転じた後の上昇和音の連続部と、その直後のトリルが現れる部分などは聴いていて自然に躍動感を覚える。
短調での沈んだやや悲痛な気持ちから、晴れ渡るような明るい気持ちに転ずる、その対称的な表現が聴きものである。
ギーゼキングも音に力があるが、この人の音は時に必要以上に強すぎるように思うことがある。また難しいパッセージの部分も速くしすぎる傾向もある。
ギーゼキングの弾く、ベートーヴェンのピアノソナタ第31番の演奏などはまさにその典型だ。
しかしこのモーツァルトの幻想曲は全体的には抑制されたいい演奏だ。
ルドルフ・フィルクスニー(Rudolf Firkušný,1912~1994)は、今回初めて聴くチェコ出身のピアニストであるが、ヤナーチェクなど自国の作曲家の録音が多いようだ。
今回の幻想曲の録音はライブ演奏であるが、破綻が殆ど無く、技巧的にも優れている。
ウィキペディアで調べてみると、その演奏の特徴は、「彼の演奏はその人柄を反映してか、けれん味がなく穏やかで自然な演奏」と評されている。
この幻想曲の演奏は、それに加えて情熱的な表現も垣間見せている。
表現の幅はギーゼキングよりも広く感じられた。
も演奏家により色々な特徴があるのですね。
いつもご紹介有り難うございます。
https://www.youtube.com/watch?v=1C04DaKTPY4
記事で紹介したモーツァルトの幻想曲ハ短調K.396をお聴き下さりありがとうございました。
Tommyさんが添付下さったYoutubeの音源が、まさに記事で書いたマリヤ・グリンベルクの演奏です。ありがとうございます。
Youtubeなので、CDの音よりもかなり劣化していますが、そでも素晴らしいです。
昨日、マリヤ・グリンベルクの弾くベートーヴェンのピアノソナタ第32番(ロシア・メロディア→日本・Triton版)を数か月ぶりに聴きましたが、凄かったです。
本当に、全く素晴らしいピアニストです。