緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

舘野泉演奏 モンポウ「内なる印象」を聴く

2014-06-15 21:50:22 | ピアノ
先日紹介した、舘野泉が演奏するフォーレの夜想曲を収めたCDに、スペインの作曲家であるフェデリコ・モンポウの「内なる印象」も収められていた。
モンポウの自作自演のCDを聴いたのは15年くらい前であろうか。モンポウの自演録音の中では「歌と踊り」が素晴らしかったが、「内なる印象」の第5曲目「悲しい鳥」も何度も聴いた。
今回「内なる印象」の全曲を舘野泉で聴いたのだが、正直驚いた。フォーレの夜想曲の時も期待半分で聴き始めてその繊細な表現や曲の本質を捉えた解釈にびっくりした。大抵フォーレの夜想曲第1番の演奏には期待を裏切られることがほとんどであるからだ。
今回聴いた「内なる印象」の演奏もとても繊細で、素朴であるが精巧でもあり自然な温かみを感じるようなガラス細工のような音楽を聴くことができた。
音量の選択、テンポの選択、ちょっとした音の加減でも曲の持つ価値を歪めてしまう程の曲であり、演奏法である。
決して音を強く弾かない。音をことさらに強調することもない。しかしこれほど心に食い込んでくる音があるだろうか。
9曲全てが1つの曲のように感じられる。どの曲も演奏いいが、特にお勧めは「哀歌3」と「悲しい鳥」と「ジプシー」。これらの演奏は実に素晴らしい。聴けば必ず心の底の感情を開放されるような演奏だ。
ピアノには華麗な曲や演奏がたくさんある中で、こんな素朴な短い曲で人に深い感動を与えることのできる、この舘野氏の弾き方は、演奏以前に何かもっと大切なものがあることを教えてくれる。

コメント    この記事についてブログを書く
« クラウディオ・アラウのライ... | トップ | クラウディオ・アラウのライ... »

コメントを投稿

ピアノ」カテゴリの最新記事