緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

ロドリーゴ ある貴神のための幻想曲 演奏者が別人だ

2012-07-01 21:53:06 | ギター
こんにちは。
15年くらい前でしょうか。駅のスタンドで写真のCDを見つけました。





ナルシソ・イエペスのロドリーゴ作曲「アランフェス協奏曲」と「ある貴神のための幻想曲」の2曲が入った廉価版(千円)のアルバムでした。
イエペスのアランフェスやある貴神はたくさん見かけるので、はじめは気に留めなかったのですが、オーケストラと指揮者を見て驚きました。

①アランフェス協奏曲
 ナルシソ・イエペス ギター
 ミラノ放送交響楽団 リッカルド・ムーティ指揮 ミラノ 1970年

②ある貴神のための幻想曲
 ナルシソ・イエペス ギター
 トリノ放送交響楽団 マリオ・ロッシ指揮 トリノ 1978年

とある。
①は既に聴いていたので(下の写真)買うのをやめようと思ったのですが、②は聴いたことがありませんでした。



イエペスのある貴神の録音は3つあります・

1.ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス指揮 スペイン国立管弦楽団
  1963年



2.オドン・アロンソ指揮 スペイン放送交響楽団 1969年



3.ガルシア・ナバロ指揮 イギリス室内管弦楽団 1977年



冒頭のCDの②ある貴神の録音があるなんて知らなかったので、もしかしてコンサートのライブ録音かと思い喜び勇んで買いました。



早速家に帰って聴いてみたら、どうもイエペスの音とは全く違う音で、演奏スタイルも全く違っていました。だまされたのかCD発売元のミスなのかわかりませんが、がっかりしました。
演奏は若手でものすごいテクニックの持ち主です。4曲目のカナリオスのソロの長い音階の部分など、今まで私が聴いた中では最も速く正確に弾いています。あのアンヘル・ロメロの速さも上回っている。
技量もあるし、音楽性もなかなかであるが音が軽いですね。楽器はオーストラリア系のような感じで音に芯がない。
演奏者は誰なのだろう。謎です。演奏者を取り違えたり、録音を間違ったりすることは駅のスタンドで販売しているようなCDではあるのかもしれません。
このCDを今日久しぶりに聴きました。その直後にイエペスの録音(オドン・アロンソ指揮)を聴きましたが、イエペスの演奏は凄い! 音楽の構成力、表現力、音の強さなど、超一流の演奏ですね。楽器はラミレスの10弦ギターと思われます。独特のつまったような湿った音ですが、響きは十分でオーケストラを逆に主導しているような感じがした。
8年後に録音したガルシア・ナバロ指揮の演奏は、楽器をベルナベに替えたあとのものであると思われますが、ベルナベ特有の乾いた音がしています。
私はオドン・アロンソ指揮の演奏の方が好きです。イエペスが技量的に最盛期だった頃の演奏です。アランフェスもこのオドン・アロンソ指揮のものが一番聴き応えがありますね。
それにしてもトリノ放送交響楽団 マリオ・ロッシ指揮の1978年録音と記載された録音は本当に存在するのであろうか。現代ギターのバックナンバーのイエペスの特集の中で、ディスコグラフィーを調べたが、無かったですね。レコード化されなかったが、音源はあるのかもしれません。

【追記(20150324)】

上記②「ある貴神のための幻想曲」の実際の奏者は、ギター:ペペ・ロメロ、指揮:ネヴィル・マリナー、 アカデミー・オブ・セントマーティン・イン・ザ・フィールズであることが分かりました。


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7 コメント

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マリオ・ロッシ (はじめまして)
2012-07-09 15:24:13
はじめまして。
仕事の休憩中にイタリア・オペラについて調べて
いるうちにこちらにお邪魔しました。
マリオ・ロッシ指揮の「アランフェス協奏曲」が
ほんとうに録音として存在するなら、ぜひ聴きた
いです。
マリオ・ロッシは20世紀のイタリア・オペラ演
奏における最高の指揮者の一人だと思います。
マグダ・オリヴェーロやアニータ・チェルクェッ
ティといった往年のプリマドンナ主演のイタリア
・オペラ実況録音では、マリオ・ロッシの神がが
ったような高貴で流麗で知的な指揮解釈に、深い
感銘を受けました。
オペラだけではなく、ドイツ音楽、ロシア音楽、
現代音楽の指揮も得意としており、いずれも高い
水準の指揮解釈だと思います。
おそらく「アランフェス協奏曲」のような作品も
得意だっただろうと想像します。
トリノ国営放送交響楽団はマリオ・ロッシの手兵
であり、同楽団をロッシが指揮した一連のラジオ
放送音源は、20世紀におけるオペラ、クラシッ
ク音楽演奏の珠玉の遺産だと考えています。
ロッシの歌心の溢れた、それでいて通俗的に流さ
れない、高貴で流麗な指揮による「アランフェス
協奏曲」の録音が存在するなら、どんなに素晴ら
しい演奏だろうと期待しています。
ブログ主さまがお聴きになられたところ、少なく
ともギター演奏は表記されているナルシソ・イエ
ペスとは異なるとのことなので、そのCDでは指
揮者もおそらくロッシではないのでしょう。
マリオ・ロッシ指揮のトリノ放送響とナルシソ・
イエペスの共演による「アランフェス協奏曲」の
録音を、自分でも探してみたいとおもいます。
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勘違い、失礼しました (Jimmy)
2012-07-09 15:45:22
先ほど投稿した者です。連投失礼します。
うっかり勘違いしてしまいまして、マリオ・ロッ
シがナルシソ・イエペスと共演したとされるのは「アランフェス」ではなく「ある貴神のための幻
想曲」のほうだったのですね。
ロドリーゴをイエペスが演奏するというと「アラ
ンフェス」の印象が強いもので、勘違いしてしま
いました。
個人的にはマリオ・ロッシの指揮でロドリーゴを
聴くならば、「アランフェス」が素晴らしいだろ
うという印象があります。
マグダ・オリヴェーロの「アドリア―ナ・ルクヴ
ルール」ナポリ・ライヴ音源で、マリオ・ロッシ
が聴かせたあの哀愁と官能美にみちたオーケスト
ラさばきを思うと、この指揮者が「アランフェス
」を指揮していたなら、どんなに美しい音色を聴
かせてくれただろうと思います。
マリオ・ロッシとナルシソ・イエペスの共演で「
アランフェス」の録音があれば、どんなに素晴ら
しいだろうと想像してしまいます。
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コメントありがとうございます (緑陽)
2012-07-10 00:00:05
Jimmyさん、はじめまして。
マリオ・ロッシについての貴重な情報、ありがとうございます。とても勉強になります。
マリオ・ロッシは未だ演奏を聴いたことがないのですが、近いうちに録音を聴いてみようと思いました。
先日紹介したロドリーゴの「ある貴神のための幻想曲」のCDを今日あらためて聴いてみましたが、100%イエペスによるものではありません。奏者のタッチ(音の出し方)や奏法、使用楽器の音から推測すると、恐らく1980年代後半から1990年代に録音されたものではないかと思います。
もしそうだとするとこのCDでのマリオ・ロッシ指揮の可能性は極めて低くなりますが、イエペスは数多くのライブ演奏をしてきたので、どこかにマリオ・ロッシとの共演の事実があるかもしれません。私も探してみたいと思います。楽しみです。
マリオ・ロッシはイタリアのオペラだけでなく、現代音楽も得意だなんて驚きです。
私は現代音楽も好きなのでロッシの演奏を是非聴いてみたいです。
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Unknown (けんいち)
2015-03-23 23:34:12
このCD、私も持っています。
件のある貴神のための幻想曲の演奏者ですが、私はペペ・ロメロのギター、ネヴィル・マリナー指揮アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズの演奏だと思います。ペペのCDと聴き比べてみましたが、間違いないと思います。
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Unknown (緑陽)
2015-03-25 00:01:31
けんいちさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
本文の②「ある貴神のための幻想曲」の実際の奏者の件ですが、早速手持ちのCDで聴いてみましたところ、おっしゃるように、ペペ・ロメロの演奏で間違いないと思われます。
(本文にCDの画像を掲載しておきました)。
このCDは、確か1990年頃だったかと思いますが、現代ギター誌で、アランフェス協奏曲の作曲者であるロドリーゴ自身が、この曲の「最高の演奏」と評しているのを読んで買って聴いたものです。
アランフェスは何度か聴きましたが、深い感動には至りませんでした。「ある貴神」は恐らく1回しか聴いていないと思います。
「ある貴神」なら弟のアンヘルの録音が数段優れているし、私のお気に入りの演奏です。この録音は何度も繰り返し聴いてきました。
クラシックギターのCDの録音で、別人の演奏を入れることは稀だと思いますが、過去にこのような事例に出くわしたことがあります。
ご存知かと思いますが、ルイーゼ・ワルカーというオーストリアの女流ギタリストの録音を集めた4枚組のCDが1990年代半ばに発売されましたが、彼女のこの全集に収録された「アランフェス協奏曲」が別人の演奏だったのです。
オーケストラもジャケットでは、Tokyo Symphony Orchestraと記載されていましたが、全く別の楽団です。
聴いて驚きましたが、実際の奏者はギターー:ジョン・ウィリアムス、指揮:ユージン・オーマンディ、楽団:フィラデルフィア管弦楽団でした。ジョン・ウィリアムスのこの曲の最初の録音です(1960年代半ば)。
このCDの解説者はこのアランフェスの彼女の演奏をとても絶賛するコメントを残していたが、なぜ気付かないのか疑問です(音も演奏法も全く違うのに)。
誰がどんな意図を持ってこのようなことをしたのかわかりませんが、ルイーゼ・ワルカー自身、このCDが出た時には存命だったので、本人が承知していたかどうかも謎です。

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Unknown (けんいち)
2015-03-25 07:54:46
ルイーゼ・ワルカーのCDについてはちょっと違和感があったのですが、なるほどそういうことだったのですね。
Tokyo Symphony Orchestraというのも謎の楽団ですし、CDに一緒に収録されているジュリアーニやC=テデスコの協奏曲も本当にワルカーの演奏なのか疑問が残りますね。ワルカーの貴重な録音が聴けるのは嬉しいのですが、リーフレットはないに等しいですし、こんなことはあってはならないことですね。
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Unknown (緑陽)
2015-03-25 23:05:15
けんいちさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
アランフェスを入れないと売れないという、レコード会社の意向があったのかもしれません。
ワルカーは80歳を過ぎても演奏活動を続けていました。
この4枚組の全集以外にも古い録音があります。
ワルカーに限らず、こういう昔の録音をレコード会社が発掘してCD化してくれることを期待したいですね。
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