緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

帰山栄治作曲 「舞踊のための音楽 『風紋』」を聴く

2020-03-21 22:43:02 | マンドリン合奏
帰山栄治氏の珍しい録音を見つけた。
Youtubeで3年くらい前に見つけたものであるが、マンドリン合奏曲ではない。
恐らく2本の尺八の重奏だ。

舞踊のための音楽 「風紋」


帰山栄治氏のマンドリン合奏曲とはかなり趣きが異なる曲だ。
基本的に日本の伝統音楽形式に根ざしているが、かなり激しく、強い感情がはきだされる箇所が随所にある。

1970年代から1985年前半の学生マンドリンオーケストラ全盛期の時代に、鈴木静一、藤掛廣幸、熊谷賢一といった作曲家と並んで、頻度は少なかったが演奏されたのが帰山栄治の曲だった。
私の学生時代では、「歴史的序曲第2番」を弾いた。

今現在、帰山栄治の曲を、学生マンドリンクラブや社会人マンドリンクラブが演奏する機会はほとんどないように思える。
昨年では社会人マンドリン団体のコンコルディアの定期演奏会で、「マンドリンオーケストラの為の『劫』」という曲を生演奏で聴いたくらいだ。

私の母校の定期演奏会で帰山栄治氏のオリジナル曲をどれだけ演奏したのか調べてみた(編曲ものは除く)。

1981年 「ハ短調の序曲」
1985年 「歴史的序曲第2番」
1986年 「"CAPRICCIO" For Mandolin Orchestra」
1986年 「ハ短調の序曲」
1988年 「歴史的序曲第4番」

1990年代以降は一切演奏されていない。

もしかして定期演奏会以外の演奏会でも取り上げたかもしれないが、それにしても少ない。
帰山栄治氏の曲が敬遠された理由は何だろう。
恐らく音楽的にも技巧的にもとても難解で、曲を仕上げるのが大変なことや、聴き手に理解を求めるのに限界を感じたためだと思われる。

「風紋」と出会ったのと同じ頃に、「まわき」というマンドリンオーケストラ曲に出会った。
帰山栄治氏の曲を全て聴いたわけではないが、この曲は氏のマンドリンオーケストラ曲の中では最も好きだ。
最近では、所属する社会人マンドリンクラブの方から教えてもらった「うねり」という曲を聴き始めているが、帰山栄治氏の曲というのは何度も何度も聴き込まないとその輪郭に触れることすらできない。
曲の真価に気付くには何年も聴き込まなければならないだろうし、テーマに関連する事項の調査、研究も要求される。

しかし帰山栄治氏の曲は、演奏団体を成長させるということは間違いないと思う。
その意味でも、帰山栄治氏の曲を演奏会に取り上げることは大いに意義のあるものだと思っている。

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