緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

セザール・フランク作曲「前奏曲、フーガと変奏曲Op.18」を聴く

2016-05-03 23:14:55 | ピアノ
昨日御茶ノ水の中古CDショップへ久しぶりに足を運んだ。
そこで目にして買ったのが次のCD。



ラザール・レヴィ(Lazare Lévy,1882~1964)という、ベルギー出身でフランスのパリ音楽院の教授を長きにわたって務めたことで知られている。
彼は演奏家というより教育者としてのイメージが強いが、昨日買ったCDで聴く彼の演奏は技巧も確かであり、音楽的表現も素晴らしいものである。
あまり録音を残さなかったのであろう。このCDは過去のライブ録音や放送録音で埋もれていたものを発掘して、CD化したもののようだ。
こういう影に隠れていながら、物凄い実力を持った演奏家がピアノ界では山ほどいるから驚く。
ラザール・レヴィの門下として有名なピアニストは、海外ではクララ・ハスキル、ソロモン・カットナー、モニク・アース、イヴォンヌ・ロリオ、日本では安川加壽子、田中希代子、原智恵子などがいる。

このCDで最も聴き応えがあったのが、セザール・フランク作曲「前奏曲、フーガと変奏曲Op.18」(César Franck Prélude, Fugue et Variation Op.18,1862年)。
オリジナルはオルガンのための曲であるが、ラザール・レヴィの演奏はハロルド・バウアー(Bauer)によるピアノ編曲版である。
また作曲者自身によるピアノ編曲版もある。
この曲を聴くのは初めてではない。以前、マリー=クレール・アランのオルガンによる録音を聴いていた。



しかしこの曲は正直、ピアノ編曲版の方がインパクトが強いし、曲の特性がより明瞭に伝わってくる。
オルガンではどうしても激しい盛り上がりを要する箇所では、表現に機能的な制約を感じる。
今回このピアノ編曲版を聴いてこの曲の真価に初めて触れたような気がする。
(作曲者自身がピアノ版を書いたのもそのような理由があるかもしれない)

J.S.バッハの時代の書法、とくに対位法の使い方に特徴がある。また循環形式を用いているのも彼独特の手法だ。
フランクは長い間教会オルガニストを務めていた。その経験からか古いの時代の形式をとるものが多いが、流れてくる音楽は熱いし、新しい感性も感じる。
それは前奏曲の冒頭から感じられる。終楽章は強い情熱的なエネルギーも感じる。

フランクの名曲としては、「前奏曲、コラールとフーガ」(1884年))があり、アルフレッド・コルトーが超名演を録音したが、このラザール・レヴィの演奏による「前奏曲、フーガと変奏曲Op.18」も間違いなく超名演と言えるものである。
この2曲は是非聴いて欲しいと思う。
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