緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

獨協大学マンドリンクラブ 第86回定期演奏会を聴く

2016-05-08 00:19:25 | マンドリン合奏
10連休も残り2日となってしまったが、数か月ぶりでマンドリンオーケストラのコンサートを聴いた。
ゴールデンウィークの始まる直前か、直後にイケガクのホームページでマンドリンコンサートをチェックしていたが、その時点ではコンサート案内が殆ど掲載されていなかった。そのためマンドリンコンサートに行く計画をたてていなかった。
しかし5月4日に再びコンサート情報見てみたら、この日にたくさんの大学のジョイントコンサートが開催されていたのである。惜しいことに聴き逃してしまった。
丁度この日、東京でフォーレの夜想曲のコンサートがあることを知り、会場まで行ったものの、チケット完売だったため無駄足となったのだが、そうであれば折角東京まで出たのだから、どこかの大学のジョイントコンサートを聴けたわけである。これは悔しい。

しかしゴールデンウィーク最後の土曜日に、獨協大学マンドリンクラブの第86回定期演奏会があることを知り、早速聴きに行ってみることにした。
会場は東京の田無という駅から歩いて10分程の距離にある、西東京市民会館であった。
会場はある程度大きなものを想定していたが、着いてみると小さな市民会館という感じ。
多くの人が来ているかと思ったが、前情報が不足していたためであろうか、今日の観客はまばらであった。

今夜の演奏会のプログラムは以下の通り。

〇第一部
・RuRu 作曲:湯淺隆・吉田剛士
・Paradiso 作曲:武藤理恵

〇第二部
・Emma Isotta 作曲:U.ボッタッキアーリ
・交響的前奏曲 作曲:U.ボッタッキアーリ

〇第三部
・黄昏前奏曲 作曲:D.ベッルーティ
・幻想曲第二番ホ短調 作曲:久保田孝

獨協大学マンドリンクラブの演奏を聴くのは去年に引き続き2回目。
去年は50周年記念演奏会だったので、OB・OGとの合同演奏であり、人数も多かったが、今日の定期演奏会は現役生と数人のOBの賛助で総勢20名弱の編成であった。
マンドリン・オーケストラというよりマンドリン・アンサンブルに近い編成に感じた。
これは意外であった。
大学にもよるが、歴史のあるマンドリン・クラブでは50名以上の部員を確保できていると思っていた。
やはりマンドリン音楽は往時の1970年代から1980年代初めの時代に比べて、盛況とは言えないようだ。
何処の大学も部員の確保は最大の悩みどころなのだろう。
まして部員をマンドリン音楽好きにさせることはもっと苦労を要することだと思う。

しかし今日の獨協大学の演奏は小編成ながら素晴らしかった。
想像以上に技巧のレベルが高かった。
特筆すべきは、1stマンドリンの技巧が確かなものであるうえに、音色が輝いており、また力強く、久しぶりにマンドリンの音の魅力を堪能出来たことだ。
この1stマンドリンの音を主体に、他のパートが支え合うというスタンスを取っているように思えた。

今日の演奏会で最も感動したのは、1stマンドリン、とくにコンサート・ミストレスの方を中心に、曲と演奏が同化、一体化したものを感じ取れたことだ。
これが、生の演奏会で味わうことのできる醍醐味なのだ。
録音ではこうはいかない。
聴く方も1回限りだから真剣だ。
演奏する曲の素晴らしさに、弾き手も聴き手も、意識せずとも一体感を感じる、その瞬間を今日感じることができた。これは嬉しいことだ。

第一部最初の曲、 RuRuは短調の曲であるが、ワルツ調の洗練されたOpeningに相応しい曲だ。
2曲目の Paradisoは、5月の初夏のさわやかな風を感じながら、林の中を自転車で走り抜けていくときに感じるようなすがすがしさを感じる。
第二部はイタリアの曲らしい、明るく雄大で、マンドリン系パートのハーモニーの美しさの魅力を十分に生かした曲だ。2曲目の交響的前奏曲は演奏会で比較的よく取り上げられる曲であるが、途中、イタリアらしい海辺の黄昏の雰囲気が感じられた。

第三部1曲目の黄昏前奏曲は、去年の11月末に母校の定期演奏会でも聴いた。
イタリアらしいロマンティックな曲であるが、最後のフレーズは、どことなくM.ポンセの「前奏曲、変奏曲と終曲」の変奏の終わり方を彷彿させた。

最後の幻想曲第二番ホ短調であるが、この曲は20年くらい前にCDで聴いたことがある。
「久保田孝作品集」というCDで、久保田孝の幻想曲や舞踏風組曲を集めたものであるが、マンドリン・オーケストラの邦人作曲家の中では西欧音楽の書法による曲作りをされる方なのだという印象であった。
舞踏風組曲第二番が人気があるようで、私も何度か繰り返し聴いたことがある。
今日の幻想曲第二番ホ短調は聴くのは恐らく2回目であると思われるが、ホ短調の調性をよく活かした曲だと思う。
短調でポピュラーな調性はイ短調、ロ短調、そしてこのホ短調であるが、ギターでは最も多く使用される調だ。
その特性としてMiとRe#の交互音が頻繁に現れる。
中間部に音量を落として奏される幻想的なハーモニーが現れるが、この部分のフレーズがこの曲に最も強い彩を与えているように感じた。ギターのアルペジオが美しく、この挿入のさせ方はギターの音の特性を活かしたものだ。
古典的フレーズを主体としているが、時折現代的または聴きようには日本的なフレーズが混在した独特な曲だ。
終結部はホ短調の定番とも言える和声進行で、ギター曲でいうとフェレール作曲の「水神の踊り」を思い出させた。

今日の収穫は、マンドリンの音色の美しさを再認識したことである。
丁度1年前の中古のマンドリンを購入して、自己流で弾き始めたが、1弦がすぐに切れてしまい、それも突然切れてしまうので、弦切れ恐怖症に陥ってしまい、しばらく弾いていなかったが、10連休の最終日の明日に久しぶりにマンドリンをケースから引っ張り出して弾いてみようかと思う。

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