晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

藤原伊織 『ひまわりの祝祭』

2009-06-27 | 日本人作家 は
この作品の主役は、とにかく会う人会う人から幼児性を指摘されたり
大人になりきれていないことを言われますが、かつて日本がアメリカ
の占領統治下に置かれていた時代、マッカーサーは「日本人の精神
年齢は12歳程度だ」という、日本人と日本の社会の未熟さを表したの
ですが、これは欧米白人種の東洋文化と有色人種の蔑視とも解釈で
きますが、それにしても、自分の学校の生徒が新型インフルエンザに
罹ったからといって涙ながらに謝罪する校長、苦情の電話をする輩、
それらをあげつらうメディアなどを見ていると、12歳どころかそれ以下
なんじゃないかと思ってしまいます。

美術の才能を持ちながら、妻を自殺によって失い、アメリカに渡っていた
男のもとに、かつての上司が訪ねてきます。
上司は、手持ちの500万円を使い切りたい、できれば馬鹿馬鹿しい理
由で、と言い、ギャンブルの才能のある男に非合法カジノで使ってほし
いとお願いします。
そう安々と頭を下げなかったかつての上司が「頼む」というからには何か
おかしいと訝りつつも、カジノへ出向きます。そこで、上司の知り合いと
思われる老人と、亡き妻と瓜二つの女性が来ます。
カジノを出て、上司は詳細を説明しようとしますが、男は断ります。そして
上司は出張で日本を離れると言い残し去りますがその直後、先程の女性
が男に話しかけてきます。いろいろと話をしていると、女性の携帯電話に
カジノに同席あいていた老人が撃たれたという連絡が・・・

なにやら不穏な事件に巻き込まれそうな予感だった男は家に帰りますが、
扉が壊されていたのです。さらに、何者かに見張られています。そこに件
の女性が来て、一連の出来事をかいつまんで説明。それは、亡き妻がゴ
ッホの未公開の油彩「ひまわり」の所在を知っていて、ある実力者がそれ
を求めているとのこと。

上司の500万を捨てたいという謎の行動は、発見されれば100億円は
するであろうゴッホの未公開の油彩を探す影の実力者と関係があるのか・・・

あまり多くを語らない、後ろ暗い過去、食生活が偏っている(コンビニのド
ーナツが主食)といったところは前作「テロリストのパラソル」の主人公と
共通点が多いところ。
とかく主人公が幼児性を指摘されますが、他の登場人物も結局のところ
子どもじみた発想や言い訳で、自分のことを棚に上げて他者に「大人に
なれ」という人がこの国には多いという著者の皮肉なのでしょうか。

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