晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

東川 篤哉 『交換殺人には向かない夜』

2017-11-08 | 日本人作家 は
やっちまいました。シリーズ物の途中をすっ飛ばして
読むというミスを。

当ブログの過去の投稿を調べてみますと、作者の実質
デビュー作「密室の鍵貸します」を投稿していまして、
今作は作品舞台が烏賊川(いかがわ)市というフザケ
た名前の同シリーズのじつは4作目。

シリーズ1作目で出た登場人物プラス2作目と3作目
で登場したであろう新キャラも出てきますが、まあそ
こまで前作を読まなければ関係性が理解できないとい
うほどではありません。

さて、舞台は烏賊川(いかがわ)市。場所は「千葉の
東、神奈川の西」という、おそらく今われわれがいる
のとは違うディメンションの世界。

この市に住む鵜飼という探偵の事務所にある女性から
依頼が。依頼主は善通寺咲子という女性。依頼内容は
夫の善通寺春彦の浮気調査。

春彦は職業は画家なのですが、「有名画家の善通寺善彦
の息子」という紹介でもしないといけない、つまり春彦
は画家として成功はしていません。

真理子という親戚が就職活動で家に泊まりに来ていて、
その真理子と夫の春彦が怪しい、というのです。
そこで、鵜飼と事務所のあるビルのオーナーの朱美と
いう女性が運転手と家政婦に化けて咲子が一晩留守に
している間に証拠をつかんでほしい、と。

烏賊川市の隣、山間部の猪鹿(いのしか)村にある
善通寺家に出かける鵜飼と朱美。
途中で金髪の青年に道を尋ねますが、挙動不審。
こちらに歩いてくる中年男性をじっと見ています。

どうにか善通寺家に着いたふたり。散歩から帰って
きたという春彦を見てふたりは「さっきの中年男性」
と思い、鵜飼はさきほどすれ違いましたねと聞きま
すが、春彦は知らない、と。

ふたりは真理子にも会って、いよいよ出かける咲子。

この話とは別に、本来は善通寺家に来るはずだった
鵜飼の助手の戸村流平。直前になって鵜飼から「きみ
は来なくてよくなった」と電話が。
偶然にも、十乗寺さくらという女性から買い物に付き
合ってほしいと頼まれ、この日、流平とさくらは烏賊
川市にあるカメラ屋さんで年代物の八ミリカメラを
購入。聞けば、さくらの友人がこのカメラを欲しがっ
ていて、それを届けに行くというのです。

待ち合わせの駅のロータリーで、突進してきた車に
流平は轢かれそうになります。この車の運転手が
さくらの友人、水樹彩子。
水樹彩子は現在、女優を休業中。3人は彩子の別荘
に到着します。すると向かいの別荘から争う声が・・・

烏賊川署の刑事、志木のもとに「鶴見町で殺人事件
発生」と連絡が。迎えに来た和泉という女性刑事と
現場に急行。
被害者はお金持ち風の女性。ナイフで刺されていて、
身元の分かるような所持品はありません。

雪の降る中、聞き込み捜査に出る志木と和泉。商店街
にあるカメラ屋の店主に聞くと、閉店間際に女性がふ
らつきながら歩いていたと。特徴は殺害された女性と
一致。

こちらは善通寺家。外は雪。夕食の時間ですが、春彦
は「ちょっと出かけたい」と鵜飼の運転で出かけます。
小一時間で戻ってきた春彦。夕食の終わりごろに電話
が。電話に出た春彦は呆然状態に。

聞き込みを続けていた志木と和泉は、別の場所でも
被害女性の特徴と同じ人物を見たという目撃情報が。
路上に高級外車があり、ナンバーから所有者の照会
をすると「猪鹿村の善通寺春彦」と。

ふたたび善通寺家。寝る時間になり、いよいよ浮気
調査の開始と思ったら、春彦がスコップ片手に外に
出て、池の近くの地面を掘っていたのです。
が、また掘った穴を埋めます。これはおかしいと
鵜飼と朱美は別の場所を掘るとそこには白骨死体
が・・・・

一方、彩子の別荘では、夜に向かいにある別荘の様子
がおかしいと見に行く3人。そこで見たのは主人の
権藤源次郎の死体だったのです・・・

春彦のもとにかかってきた電話ですが、じつは真理子
が受話器の向こうの声を聞いていて、「奥さんを・・・」
「今度はあなたの番・・・」と話していたというのです。

これはひょっとして交換殺人なのか。

読み進んでいくとだんだんとネタあかしとなっていく
のですが、さらにこんがらがって、最終的には「おおー」
となります。

あまりにも偶然が重なり過ぎるのですが、それを「都合
良く」とは思わせないトリック。フザケた描写の中に
さりげなく巧妙に仕込まれた伏線。
「書評」といえばたいていは(粗探し)になってしまい
がちですが、そういうのを捨てて軽い気持ちで「ダマされ
てみるか」というスタンスで読むのがいいですね。

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