晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

ジェフリー・アーチャー 『めざせダウニング街10番地』

2009-05-04 | 海外作家 ア
著者のジェフリー・アーチャーは自身、英国国会議員経験があり、政治
の内実に詳しく、たびたび登場人物で「政治家」の信念、「政治屋」の
陰謀などが描かれており、その対峙が読むものを退屈させなかったり
するのですが、『めざせダウニング街10番地』は、日本でいうところの
総理官邸、ここを目指す3人の同期の国会議員という話。

貴族階級出身、中流階級で弁護士、労働者階級で肉屋の息子という
身分の違う3人が1964年にそれぞれ当選し、国会議員になります。
イギリス国会は保守党、労働党という2大政党によって天下獲りに躍起
になって、その都度、与党で実力を発揮できたと思ったら総選挙で野に
下り、その反対に野党で影の内閣(政権交代に備える野党の対抗組織)
で評価を得て、与党になればポスト就任、という時には仲間を欺きもし、
出し抜くこともしばしばというゲームを展開していきます。

物語では、マーガレット・サッチャー女史の退任後、エリザベス女王が
高齢を理由に王位を息子のチャールズ3世に継承します。
ここで、下院の総選挙で労働党、保守党の議席がまったくの同数となり、
選挙は国王布告で実施されるのと同様、首相の任命も実質は儀礼として
行われており、このような同数になった場合、どちらに任命するかは国王
の決断いかんによるところとなるのですが・・・

実在の政治家、実際に起こった事件に3人の議員が関わり、労働党党首
には肉屋の息子であるレイモンド・グールドが、保守党党首には、貴族階
級出身のチャールズ・ハンプトンと弁護士のサイモン・カースレイクが争い、
最終的にサイモンが党首に選ばれます。

イデオロギーに明確な違いのある政党政治であれば時代や景気を見て、
国民が「当面はより良い国つくりをしてくれそうな」政党を選ぶこともできる
のでしょうが、日本のように、超強大保守与党に対抗できるのはその与党
からの残党兵か脱走兵みたいな集まりで、その政策は「機を見て」決める
という日和見主義。
こういう海外の政治小説や、実際の海外の政治を見ると、一方我が国では
2世3世の世襲議員の制限をしようじゃないか、なんてレベルの低い議論が
巻き起こるのを見ると、恥ずかしく思います。
やっぱり「国民主権」を標榜しているくらいですので、その国の政治家のレベル
が低いのは、その飼い主である国民つまり有権者のレベルの問題。

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