晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

浅田次郎 『輪違屋糸里』

2013-10-07 | 日本人作家 あ
彼岸を過ぎてからぐっと涼しくなって、いよいよ読書の秋がやってきた、
これで読むスピードアップで溜まってる未読本に手をつけていこう、と。

浅田次郎さんの本というだけで内容を知らずに買って、読み始めたのです
がなかなか進まず、上巻が終わるまでものすごい時間がかかってしまいま
した。

というのも、この『輪違屋糸里』は主に新選組にまつわる話で、正直いって
あまり好きなテーマではないのです。いや新選組が嫌いというわけではなく、
昔から、幕末のゴタゴタがどうにも苦手といいますか。

まあ、とはいっても「壬生義士伝」は好きだったのですけど、一応「壬生~」
も新選組がテーマではあるのですが、主人公と新選組の距離を置いて描いてい
て、傭兵の悲哀が涙なくしては読めないくらい感動したんですが。

「輪違屋」というのは、京都の島原というところにある花街の中にある置屋
のことで、糸里とは、そこの「天神」という位の芸妓。

糸里は6歳のときに若狭の小浜から女衒に連れられて京都に。母親は”おいと”
を産んですぐに亡くなり、輪違屋の女将に「お母さんがつけてくれた名前だけは
取らないで」と懇願、もらった名前は「糸里」でした。

トップは「太夫」で、音羽という芸妓。太夫は禁裏より正五位を賜り、御所の出入り
もできるほどで、糸里は小さい頃から音羽に妹のように可愛がってもらいます。

ところがある日のこと、壬生浪士組(まだ新選組という名前をもらう前)の芹沢局長
が島原に遊びに来るとのことで、しかも音羽太夫に逢状(今風に言うと指名)が。

壬生浪士は島原の礼儀をわきまえずに、そればかりか商家に押し借り(強引に金を
催促)などして、特に局長の芹沢は短期で酒癖も悪く、評判は最悪。

ここで音羽太夫は芹沢に対してあくまで島原の流儀を通しますが、けちょんけちょん
に言い負かされた芹沢はあろうことか音羽をその場で斬ってしまい・・・

と、こんな感じで始まります。前に「主に新選組にまつわる話」と書きましたが、
新選組に食住を提供していた家の女房、西陣の大店の愛妾(じつは芹沢と深い関係)、
そして糸里は副長の土方歳三から贔屓にされ、糸里の親友で吉栄は隊士の平山五郎と
昵懇、「女性からの視点の新選組」という描かれ方にもなっています。

新選組の話としては、芹沢の暗殺までになっていて、これには長州がやった、あるいは
内ゲバ、など諸説あるのですが、ここでは内ゲバになっています。そもそも芹沢と近藤
というツートップ体制から内部亀裂が生じて、というのが通説ですが、さて最終的に
芹沢暗殺というのは誰の描いた脚本だったのか・・・

たしかに上巻まではなかなか読み進まなかったのですが、下巻に入ってスピードアップ、
そしてラストでは「やられた」と言いたくなるほど感涙。





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