晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

山本一力 『粗茶を一杯』

2013-10-21 | 日本人作家 さ
この作品は「損料屋喜八郎始末控え」のシリーズ第3作で、元同心で損料屋
(レンタル屋のようなもの)をやっている喜八郎が、海千山千の札差(米屋
の大店)と頭脳勝負したりするのがメインなのですが、深川の老舗料亭、
江戸屋の女将、秀弥とのロマンスもあったりして、読む前から楽しみ。

寛政元年(1789)年に、幕府は「棄捐令」を発布します。これは簡単
にいうと、武士の借金をチャラにしてしてあげるよ、というもの。
武士の俸給は石高に合わせて米が支給されることになっていて、その米を
現金に換えてくれるのが、札差という米屋の大店。武士は支給前に新米を
担保に金を借りていて、その借金は江戸の武士全体で何万両とかいう借金
になっていて、もうどうにもならないといった状態での一手が棄捐令。

ところが、それまで金を貸していた札差にとってはたまったもんじゃあり
ません。当然、それまで豪快に遊んでたのを控えるようになります。
それによって、江戸の経済の末端を支えてた札差の「大盤振る舞い」が
なりを潜めると、たちまち不景気に。

それから3年後の寛政4年、門前仲町にある一膳飯屋「七福」で、あるじの
勇蔵が、常連の棒手振に、ある話を教えます。
なんでも、昼前に七福に団体客が来て、急に大勢で押しかけても勇蔵は
人数分の料理を出して、客たちは大満足します。その客の中のひとりが、
今夜、あるところに来てくれれば、うまい儲け話を聞かせてあげましょう、
と勇蔵に教えたのです。

勇蔵は、棒手振の勝次を連れて、佐賀町にある蔵へ向かいます。そこで、
日本橋で御公儀御用達をつとめているという男に会い、「猫札」という
謎の金儲けシステムを教わるのですが・・・

一方、喜八郎は、北町奉行所の与力、秋山と小料理屋で食事をしています。
話の内容は、近々、幕府が不景気の復興策として、3万両で札差から米を
買うというもの。
秋山は喜八郎に、幕府の米買取り政策に関して変な騙りがないかどうか
しっかり見張っててくれ、と頼みます。

しばらくして、七福のあるじ勇蔵の娘が、棒手振の勝次の仲間に、お父さん
が家の蓄えを全部出して「猫札」を買おうとしている、と相談を受けます。

はたして猫札とは何か、そしてこの怪しい計画を企んでいる大城屋の目的とは・・・

さて、あれ、江戸屋の秀弥とのロマンスの行方は?のことですが、終わりのほうで
ちょこっと出てくるだけ。正直言って進展を期待していただけに「ズコーッ」といった
具合の肩透かしをくらいました。

まあ第4作に期待。

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