晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

海堂尊 『マドンナ・ヴェルデ』

2013-06-14 | 日本人作家 か
この作品は、「ジーン・ワルツ」と話が前後しているというか
交差しているような内容で、まだ両方とも読んでないという方は
セットで読むと、より分かり易いかと思います。

帝華大の講師で、非常勤でマリア・クリニックという産婦人科医院
に通ってる曾根崎理恵は、久しぶりに桜宮市にある実家に帰ります。

理恵は父を早くに亡くし、上京するまでは母のみどりとふたり暮らし
をしていて、母娘とても仲良しと思いきや、みどりはどこか理恵に
たいして、遠慮ぎみ。

さて、実家に帰ってきて、理恵は突然、母親に代理母になってほしい
と相談してきます。

いきなり何を言い出すのかと驚くみどり。よくよく話を聞いてみると、
夫の伸一郎はアメリカに単身赴任していて、夏休みに夫のところへ
行ったとき、妊娠したのですが、理恵は子宮に奇形があることが分かり
ます。

昔から、みどりの性格を見透かすようなところのあった理恵。「ママって
冷たい」という言葉は、みどりの心に突き刺さり、それが呪いのように
まだ残っていて、一番辛いのは理恵なんだ、と自分に言い聞かせ、承諾
するのです。

ところが、肝心の伸一郎には代理母の許可はもらってないというので、
みどりはアメリカに手紙を出します。

さっそく、東京にあるマリア・クリニックに出かけるみどり。
そこで、妊娠できる体にするためにホルモン治療を受けることに。

さて、家に戻ったみどりですが、伸一郎からの手紙に衝撃を受けます。
そこには、伸一郎は精子を採取された記憶などない、と書かれていて・・・

その後、理恵から「次にこの病院にくるときはなるべく素性を隠して
ほしい」と言われます。なんでそんなことをするのと聞くと、「代理母
は日本では正式には認められてないから」というのです・・・

みどりは妊娠するのですが、はたして出産はできるのか。

「ジーン・ワルツ」にもちょっと出てきた、みどりと同時期にマリア・
クリニックに通う、お腹の赤ちゃんの相手が誰だかわからない、遊び半分
で妊娠したユミという少女がいるのですが、『マドンナ・ヴェルデ』では
ユミとみどりの交流が描かれていて、それが、みどりが理恵にとって思い
もよらぬ行動に出ることになります。

ここでも、官僚や医学界の権威たちは、誰のために法整備をしているのか、
という辛辣なメッセージが込められています。

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