晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

山本一力 『深川黄表紙掛取り帖』

2012-06-22 | 日本人作家 や
気がついたら、我が家の書棚の「日本人や行」のところに、山本一力の
作品がけっこう増えてました。
特に時代小説好きというわけではありませんが、この人の作品は「時代
小説時代小説してない」といいますか、分かりづらさというものが無い
んですね。

定斎(夏バテに効く薬)売りをしている蔵秀、文師の辰次郎、飾り行灯
師の宗祐、そして絵師の雅乃、この4人が、表向きはそれぞれの仕事を
していますが、人伝てで”依頼”が入ると集結し、問題を解決する、という
話が5編あります。
リーダー格の蔵秀、若手の辰次郎、4人の中では年長でアイデアマンの
宗祐。雅乃は唯一の女性で、美人なのですが身長が高く男っぽい格好を
していて、そのせいか婚期が延び延びに。
雅乃は蔵秀に想いを寄せているのですか蔵秀は知ってか知らずか。

「端午のとうふ」では、豆を扱う大店の丹後屋が、店の手代のミスで、
毎年仕入れる大豆50表を500表と書き間違えてしまい、つまり450
表余計に仕入れて大損してしまいます。そこでこの4人組に大豆を
どうにかさばいてほしい、と依頼するのです。

しかし、一人の手代のミスにしてはどうにも何か裏がありそうな話では
ありますが、とにかくアイデアを考えることに。
その奇想天外のアイデアとは・・・

このアイデアを実行するために蔵秀が力を借りに向かった人物とは、
渡世人の大親分、猪之吉。深川の賭場を仕切っていて、怒るとまるで
膨れあがるように見えるところから「達磨の猪之吉」と恐れられて
います。
この猪之吉、他の作品にもちょくちょく出てくる作者お気に入りの
キャラで、義理と仁義を通す人で(ただし裏切り者は許さない)、
まあ、”古き良きヤクザ”とでもいいましょうか。

「水晴れの渡し」では、なんと雅乃にお見合いの話が。こちらもまた
裏になにかありそうで、見合い相手の油問屋の息子は「行き遅れの
でかい娘をもらってやってもいい」などと暴言を吐きます。

この話を聞いた3人は怒って、傷ついて寝込んでしまった雅乃の仇を
うってやろうと、油問屋を大損させてやろうという計画を・・・

そして「夏負け大尽」「あとの祭り」「そして、さくら湯」では、
この時代のビッグスター、紀伊国屋文左衛門が登場します。
稀代の”切れ者”紀文とどうやり合うのか。

元禄時代、5代将軍綱吉の、綱吉といえば「生類憐れみの令」ですね。
というわけで、”お犬様”にまつわる話も出てきます。

江戸を舞台に繰り広げられるコン・ゲーム(詐欺)。痛快、爽快です。
コメント
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