晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

万城目学 『プリンセス・トヨトミ』

2012-01-04 | 日本人作家 ま
これで、万城目学の作品を読んだのは3作目となりますが(「鴨川
ホルモー」と「鹿男あをによし」)、やはりといいますか、荒唐無稽
なストーリーを「それっぽく」描かせたら天下一品ですね。

まず「大阪が全停止した」というショッキングな書き出し。そして
会計監査院の松平、鳥居の2人の男性、ゲーンズブールの1人の女性
(フランスと日本のハーフだけどフランス語は喋れず)が、大阪へ
出張というところからはじまります。

松平は国家公務員試験をトップで合格、仕事も完璧なスーパーマン
であるのに対し、鳥居はあまり出来は良くないくせに後輩には先輩風
を吹かすようなタイプ。そしてゲーンズブールも切れ者。こんな
チグハグな3人が向かったのが大阪府庁。

そこで府の会計の不備を見つけようとするのですが、仕事の出来なさ
そうな鳥居がなぜ呼ばれたのかというと、彼にはある「特技」があって、
さっそく鳥居は、資料の中の怪しい部分を発見します。

不明瞭な金の流れを見つけた会計監査院は、鳥居とゲーンズブールの
2人で、ある領収書に書かれた住所のビルへと向かいます。そこは
坂の中腹にあって坂道から見たら2階、と見えるのはビルの裏で、正面
から見ると4階建てのビルになっていて、外観は、どこかで見たことが
ある、と鳥居は考えて、のちに東京駅にそっくりだ、と気付き・・・

そんな話と並行して、大阪市内にある平凡な商店街のお好み焼き屋の
ひとり息子、大輔は、幼なじみの女の子、茶子と学校へ行こうとします
が、大輔はなんと女子の制服を着ています。

小さい頃から、女の子になりたかった大輔は、とうとう勇気をふりしぼって
セーラー服で登校しますが、当然といいますか、先生に呼び出されてジャージ
に着替えさせられます。そればかりか、学校一の不良に目をつけられて
しまい・・・

いったい、この会計監査院と中学生のふたり(男の子と女の子、いやふたりの
女の子?)が、どういう接点があって、どういう話の持っていき方で絡んで
くるのか、そもそも「大阪が全停止」とはどういった状況なのか。

話の展開は、中盤以降になっておぼろげに見えはじめ、そして後半になって
その突拍子もないアイデアに感心します。

ゲーンズブールという登場人物、「鴨川ホルモー」に出てくる、ホルモー部
の眼鏡の無口な女の子、そして「鹿男あをによし」に出てくる、京都の先生、
これら3人のヒロインは、キャラ設定はバラバラですが、なんとなく3人とも
似てますね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする