晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

奥田英朗 『町長選挙』

2011-07-19 | 日本人作家 あ
この作品は、精神科医、伊良部シリーズ第3弾で、例の
ごとくハチャメチャで、それでもズバッと現代社会の病
を治療する、痛快なお話なのですが、今回収められてい
る4作品のうち2つが、あれ、どこかで見たような聞いた
ことがあるような、と思ったら、今年のはじめにドラマ
化したときに放送した話でした。

「オーナー」という話は、日本一の発行部数の(大日本
新聞)の会長にして、プロ野球の“中央リーグ”の人気
球団、(東京グレートパワーズ)のオーナー、太平洋
リーグの1球団が経営難で、この際リーグを1つにして
10チームに編成、これに反発した選手会に対して「
たかが選手が」と言い放ち・・・とまあ、ここまで書けば
誰をモチーフにしているか(というかそのものですけど)
お分かりになると思うのですが、そのオーナー、高齢の
せいか、このところ体の不調を訴え、秘書に病院へ行く
ことを勧められ、医師会の理事が経営する病院の息子が
精神科医ということで、不承不承行ってみると・・・

そして、「アンポンマン」という話も、安保貴明という
IT企業の社長で時代の寵児ともてはやされ、某ラジオ
局の株買い付けで物議をかもし・・・まあこれも容易に
想像できますね。
そんな彼が、なんとひらがなが書けなくなるという症状
に・・・

他にも、40代で全力でアンチエイジングに取り組んで
若さを保つ女優が、強迫観念にとらわれて・・・という
「カリスマ稼業」や、伊豆の小島に無医村派遣で2ヶ月
訪れることになった伊良部が、この島内を二分する選挙
に巻き込まれ・・・といった表題作「町長選挙」、どれも
伊良部ワールド、いや奥田ワールドを存分に楽しめます。
コメント (2)
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