晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

宮部みゆき 『心とろかすような』

2011-07-09 | 日本人作家 ま
この作品は、前作「パーフェクト・ブルー」の主人公の犬、
探偵一家にもらわれたマサという元警察犬が語り手となる
ちょっと変わった作品の続編で、今回は短編の構成となって
おります。

宮部みゆきの作品に、財布が主人公の作品というのもあった
りして、犬が主人公ということで今さら驚きもしないので
すが、それにしても、こういう切り口だと、文章力が無いと
ただのオフザケになるところ、そこは流石。

マサの暮らす(飼われている)「蓮見探偵事務所」には、
代表の父、長女の加代、次女の糸子の3人の探偵がいます。
そこに「パーフェクト・ブルー」で何かと蓮見家に関わり
を持った進也というバー店員、バーのマスターなどがマサ
の近辺の人間たち。

今回の事の起こりは、糸子と進也が、ふたりそろって朝帰り
をしたということで一家は大騒ぎ。
よく聞いてみると、塾の帰りは物騒なので普段は加代が迎え
に行くのですが昨夜は忙しく、かわりに進也に行ってもらう
ことになったのですが、帰り道、車のトランクに入る女の子
を見かけ、どうしたと声をかけようとしたら、背後からスタ
ンガンでビリッ・・・そして目が覚めたらふたりともホテル
にいたのです。

朝帰り疑惑はさておき、なにやら怪しいと加代はその車の
持ち主を探し当てますが、少女の誘拐などしそうもない、
お金持ちの中年男性。そしてその少女はというと、こちら
はちょっと問題ありそうな家庭だったのです・・・

基本的に犬は人間同士の会話は理解していますが、でも
人間に自分の思っていることを伝える術はなく、その辺り
が読んでいて軽くもどかしくなるといいますか。

この短編の最後に、なんと探偵事務所に「宮部みゆき」と
いう女性作家が依頼に来ます。そしてある「告白」をする
のですが、まあこれは人を食ったようなオチ。

コメント
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