晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

ダン・ブラウン 『パズル・パレス』

2011-07-06 | 海外作家 ハ
この作品は「ダ・ヴィンチ・コード」や「天使と悪魔」で
おなじみのダン・ブラウンのデビュー作ということなので
すが、デビュー作にしてこのクオリティというのは、衝撃。

アメリカの「米国家安全保障局」、通称「NSA」の開発
した、暗号解読のスーパーコンピューター「トランスレータ」
は、当然ながら、防犯上の利用がメインで、テロを未然に
防いだり、麻薬や武器の闇取引を一網打尽にしたりするの
ですが、一歩間違えれば、一般市民の通信内容もすべて見ら
れてしまうという危惧から、市民団体などはトランスレータ
の使用を止める運動をしています。

そして、NSAにとって、市民団体よりもさらに厄介な“ある
男”を敵に回してしまったのは痛手でした。その男とは、手に
障害を持つ日本人でコンピュータの天才。彼は元NSA職員で、
このトランスレータの使用をめぐりNSAを辞職します。そこ
で彼は、(解読できない暗号はない)トランスレータでも解読
できない暗号ソフトを開発し、なんとそれをオンライン上で
プログラムをオークションにかけて、さらにそのソフトを全世界
に無料配布するというのです。

休暇中だったNSA職員スーザンは、NSA副長官ストラスモア
から呼び出され、至急本部へ。今までどんな暗号でも数分で解読
してしまうトランスレータが、なんと10時間以上も解読できず
に作動中で、じつはこの原因は、元NSA職員だった男が送りこ
んだ暗号で、それを解読するパスワードはその男自身が持っている
(あるいは知っている)ということで、ストラスモアは、スーザン
の恋人で大学講師のデイヴィッドをスペインに送ったのでした。

しかし、その暗号ソフトの開発者であった日本人は、なんとスペイン
で死亡してしまったのです。そして、もし自分が死ぬことがあれば
それはNSAの仕業なので、ただちにトランスレータにウィルス攻撃
をしかける、と喧伝していたのです。

デイヴィッドは遺品を“すべて持ち帰るように”と頼まれて、確認を
しますが、そこにあるはずの指輪が無く、ストラスモアからその指輪
を探し出すように命じられます。しかしデイヴィッドの後ろには謎の
影が・・・

半日以上も解読作業を続けるトランスレータの(異常)に職員たちも
おかしいと感じますが、ストラスモアは通常の解読中と説得します。

そもそも、なぜ“素人”であるスーザンの恋人をスペインに送りこん
だのか、ウィルス汚染されたトランスレータを停止させずに稼動させ
続ける真意とは・・・

専門用語のオンパレードで多少読み辛い部分もあったりしますが、
それでもスピード感、スリリングは一級品です。
ただ惜しむらくは、ラストの“オチ”といいますか、そこがやや
蛇足かなあ、と。
コメント
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