晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

スティーヴン・キング 『ミザリー』

2011-05-16 | 海外作家 カ
20年ほど前でしょうか、『ミザリー』の映画が公開されて、
記憶がたしかならば、銀座のみゆき座だったと思うのですが、
観に行って、当時の印象は、とにかく怖かった、というだけ。
後日、アニー役を演じたキャシー・ベイツがアカデミー賞の
主演女優賞を受賞したと何かの雑誌で知って、びっくり。
こりゃ原作を読まないと、と思い、思ったものの、あれから
20年が過ぎてしまい、ようやく読みました。

あとがき解説によると、この作品を書くきっかけとなった
出来事があったそうで、1978年に、自分はあなたの
ナンバーワンのファンだという“ある男”が写真とサイン
をせがんできて、その男の名前を写真に書き込んだのです
が、キングの書いた“ある男”の名前とは、その2年後に
ジョン・レノンを射殺した「マーク・チャップマン」だった
のです。

ポール・シェルダンという“売れっ子作家”が、ある雪山で
車を運転しているとスリップし、谷に転落。

それを助けたのは、近くにひとりで住むアニーという女性で
した。意識が戻ったポールはアニーの家の狭い客間で寝かさ
れていて、両足は激痛。
アニーはポールに「あなたのナンバーワンの読者」と言い、
鎮痛剤を飲ませてもらいます。
元看護婦と聞いて、ポールは安心するのですが、すぐに、この
アニーという女性は(まともじゃない)と気付くのです・・・

アニーは、ポールの作品「ミザリー」の大ファンで、主人公の
女性が死んでしまったことに納得がいかず、続編を書いてほしい
とお願いします。
ポールはそれを拒むと、アニーはだんだんと豹変し凶暴に・・・

まったく動けず、逆らうと酷い目にあうので、しぶしぶ「ミザリー」
の続編、つまり主人公は実は“死んでいなかった”という物語
に変更する、という原稿を書くことに。

このままでは危ないと感じたポールはアニーの外出しているスキに
逃げようと試みますが、家じゅうの窓、ドアは鍵がしまっていて、
ガラスを突き破って外に出ようにも車椅子なので、そこから這って
道路まで辿りつけたとして、山奥の一本道で車が通るのか、そして
現場をアニーに見られたら・・・

映画は今でも克明に覚えていて、シーンに若干の違いがあるのです
が、原作を読むと、ああ、こんなの映像化するのは残酷すぎて無理
だわ、と。もっとも映画のほうもじゅうぶん「残酷」でしたけど。

基本、舞台設定は、アニーの家の中、それもポールの“監禁”され
ている部屋が中心で描かれているのですが、変わり映えのしない状況
下でこれでもかと文章に引きつけられるのは凄いですね。

そして、映画でアニー役を演じたキャシー・ベイツ。原作を読んで
いると20年前に観た映画の記憶がふつふつとよみがえり、彼女の
演技がいかに素晴らしかったかと、長い時を経てようやく分かりま
した。憑依ですね。

コメント
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