晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

海堂尊 『ジーン・ワルツ』

2011-05-08 | 日本人作家 か
ただ今、某公共放送でやってるドラマ「マドンナ・ヴェルデ」
の原作が海堂尊と新聞で知って、さっそく見てみるも、いつも
のお馴染みの桜宮も東城大も、ましてや田口も白鳥も出てこな
いので、ああ、「チーム・バチスタの栄光」からのシリーズの
ほうじゃないのね、と思い、そういえばそっちのシリーズ以外
の作品もけっこう出てるのにあまり読んでないや、ということ
で、さっそく本屋へ出かけて購入。

田口、白鳥コンビの流れは直接くんでないものの、この『ジーン・
ワルツ』に出てくる曽根崎理恵という女性医師、帝華大学医学部
の講師は桜宮出身で東城大卒ということで、ちょびっとだけ関わり
があります。

帝華大で発生学、産婦人科の学問に付随するもので、人間が赤ん坊
として生まれるまでの変化を学ぶもので、この講師を任されること
になって数年目。
厚生労働省のお達しのせいで地域医療の崩壊が叫ばれる現在、理恵も
黙ってはいられず、中央に意見書を出そうにも、上司にあたる清川
准教授や産婦人科学の権威、屋敷教授にとっては中央に睨まれるこ
とは避けたく、マークされているのです。

そもそも、理恵の怒りの発端は、理恵が非常勤で通っている地域の
産婦人科病院「マリアクリニック」の院長の息子が、某市で出産の
手術に失敗、なんと息子は業務上過失致死で逮捕されてしまうので
す。

そんなマリアクリニックなのですが、かつては清川も理恵と交代で
非常勤で通っていて、しかし理恵が今もそこで勤務しているのは、
瀬絵核には違反なのですが、担当している不妊治療患者と妊婦を
最後まで担当して、その後マリアクリニックは閉院というはこびと
なるわけで、クリニック院長の三枝茉莉亜は息子逮捕ショックから
か、ここ数年は具合が悪く往診はできずに安静状態ということで、
それを知る清川も止めることはできません。

が、しかし、理恵はこのクリニックに通い続ける、他の理由があった
のです・・・

不妊治療、代理母出産、地域医療崩壊、といった、現役医師でもある
作者の視点は鋭く辛らつで、しかし重々しく描かずに一般素人読者に
も分かり易く、読み終わったあとには国の対応に怒りを覚えるくらい
なのですが、作者の文中で出している代替案も、国の政策よりは数百
数千倍はマトモではあるものの、それはちょっと無理が・・・といった
印象。

国も、産めよ増やせよというのなら、その前に無事に産める環境すら
整ってないという現状を知るべきですね。
コメント
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