晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

ジョゼフィン・ハート 『ダメージ』

2009-05-25 | 海外作家 ハ
たんなる「恋愛小説」とはひとくくりにできないのが、評価の高い
恋愛小説になるのでしょうけど、恋愛という普遍のテーマに取り
組むのは、容易と困難の表裏一体ではないか、と思うのです。

物語は、イギリスの田舎町、商店経営の事業に成功した家に生
まれた男が、ケンブリッジに進学し、医者になり、故郷で診療所
を開設し、そして国会議員の娘と結婚、一男一女をもうけ、やが
て義父の勧めにより男は国会議員となります。

ここまでは順風な人生、まったくもって理想的な人生となる「はず」
だったのですが、ある日成長した息子が勤め先の新聞社で出会った
年上の女性と恋に落ち、家族に紹介したいと家に連れてくるのです。

男は、あろうことか、息子の恋人と関係を持ってしまいます。

この女性は弟の自殺、両親の離婚という境遇を経験し、一方の男は
順風な人生の中にもどこか空虚感があり、その充足を彼女に求めま
すが、深入りを認めません。

この先は、男の転落人生となるのですが、自業自得といってしまえ
ばそれまでなのですが、この男側の視点に立つのか、女性側の視
点に立つのかで、この作品の意見が分かれるでしょう。
といっても、男と女の差異を論じることは的確ではなく、あくまで「視
点」を考えることが興味深いのではないかと。
コメント
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