晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

乙川雄三郎 『冬の標(しるべ)』

2008-11-08 | 日本人作家 あ
時代小説です。

時代小説といえば、山本周五郎。山周の小説は江戸時代に暮らす
人々の息遣いが聞こえてくるような丁寧な描写ですが、おそらく
それに匹敵するくらいの筆の力です。
乙川雄三郎という人はこの本を読むまで知りませんでした。
直木賞作家なのね。勉強不足。
他の作品も是非読んでみたいと思わせる力がありますよ。

物語は江戸末期。武家の子女として生まれた明世(あきよ)は、
幼くして絵画、それも南画に興味を持ち、近所の画塾に通わせ
てもらいます。
【南画-Wikipedia-】
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E7%94%BB

しかし、武家の子女であることは、自由に趣味を満喫できると
いう身分ではなく、やがては嫁いで他所の家の人間となり、主
や舅姑の世話、そして子が生まれれば母として子育てに勤しむ
という柵の中で生きてゆかなければなりません。

やがて、縁談→結婚を期に絵画の道は諦めます。
それでも趣味で絵画を続けるのですが、周り(姑)は理解す
るどころか、非難します。
そして時代は江戸から明治へ。政変の中で奔走する男たちを
よそに、当時の女性がどのように生きていたか。

結婚すれば亭主と家のために生き、子が生まれれば母として生
きる。自由を与えられず、道理を引っ込めてでも無理を押し通
さなければ自分のやりたいことなど出来なかった、そんな時代
を生きた女性が主人公の作品は、東西問わず多いですね。
(ジェーン・エア、赤毛のアンなど)

アメリカ大統領選挙で、共和党の副大統領候補であったペイリン
アラスカ州知事が選挙活動中に着ていた服がニューヨークの一流
デザイナーズブランドだぞ、という報道というかゴシップが出ま
したが、それをいうなら男性候補者だって、それなりの高級スー
ツでしょうに。
女性だからという理由でそんな些細なことをあげつらう。
男女平等への道のりはまだまだ遠いのか。

もっとも、アメリカの男女平等論は極端ですけどね。
重い物を運んでいて、手伝おうとすると、見下したということで
セクハラ。そんなバカな ┐(´ー`)┌ マイッタネ
コメント
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