過日、カザルスのモーツァルトを聴いたら、
彼のバッハも聴きたくなりました。
バッハの、管弦楽曲を集めたディスクから、
ブランデンブルク協奏曲の4、5、6番を聴く。
マールボロ音楽祭管弦楽団による、1960年代の演奏。
特に、5番は、ハープシコードの部分をピアノで演奏したもの。
その選択や、演奏形式が、今となっては確かにひと昔まえのものですが、
でも、なんて、豪快で、おおらかで、優しさにあふれた、本当に心地の良いバッハなのだらう。
コープマンのやうに、キンキンと響かせながら、颯爽とする演奏も嫌ひではありませんが、
すこし、疲れた中年のオジサンには、こんな、少し古色の演奏も有難いものです。
でも、バッハは、少しも崩れてはゐなくて、
バッハの創り出した音楽の素晴しさゆゑなのでせうが。
明日は、ひと月半前に亡くなった、小生の父の納骨のために、山形を離れます。
人間50も過ぎてゆくと、
ゆっくりととどまることを許されない、
背中からの風に追ひ立てられながら、前のめりになって、
日ごとにこころ細くなってゆく道を、
必死の形相で歩いてゐるやうな気になります。
(写真は、ジャケット)